探偵事務所5”~5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語~
先行ロードショーで「探偵事務所5」を観てきた。
これがすっごく面白かった。
常からお金を払って映画を見る時は、粗さがしよりは楽しもうというのが信条だけど、この映画は文句なしで、面白い映画を見た幸せを味わえた。
映画の中で完全に架空の世界を作り上げていて、それがとてもスタイリッシュ。
ディテールを見るのがとても楽しかった。
あと、音楽もかっこ良くて、サントラがほしくなったくらい。
登場人物のキャラクターも物語もしっかりしていて、飽きずに楽しめました。
以下、ネタばれ
まず、探偵事務所本部の建物が実に趣があって良いです。
上海の外灘あたりにありそうなレトロな建物で、それぞれの探偵の部屋の内装が洒落ている。幾何学模様の模様の入った窓とか(アールデコか?)、壁とか。
その重々しい建物の中を591がキョロキョロしながら歩き回るところは、なんとなく「秘密の花園」とか「レベッカ」の屋敷を探検するシーンを思い出した。
探偵の七つ道具も、007みたいで楽しい。
「一つの世界を作る」という点では、以前の濱マイクシリーズも同じなんだろうけど、濱マイクは場末の雰囲気が濃すぎて個人的に嗜好にあわなかったため未見です。
でも、この「探偵事務所5」の世界は、かっちりしたところが好みにあった。
登場人物はみんな個性的で面白いんだけど、一番ウケたのが「鍵屋の錠」。
もう、おかしくて、出てくるたびに手を打って笑いそうになってしまった。
見る前の想像を遥かに超えて良かったのが外科医役の田中美里。華と毒が両方ある、ぶっ飛んだ役なのだけど、こんな役が出来る人だとは思っていなかった。演技力はもちろんのこと、「いい時の松坂慶子」(「いい時」というのは、松坂慶子は役にハマるといいけど、だめな時は限りなく大根なので)のような華やかさと浮世離れした雰囲気がありました。
優秀な先輩探偵553役は池内博之で、ほんとうに頼もしく見えた。今までこういう役で見たことがなかったので、池内博之もこの映画で見直した一人。
瞳役の貫地谷しほりは、ハタ迷惑な勝気なお嬢さんが似合っていて、591とのかけあいのテンポが良かった。瞳って、実際にいたら、ほんとに迷惑なタイプだけど。
主演の2人のうち、宮迫博之の522は、ステロタイプになりそうでならないところが味かな。ちょっと間違うとコントのキャラクターみたいになりかねないキャラクターなんだけど、そうはならずにリアリティがあった。
成宮寛貴演じる新米探偵591は、初々しくて正義感が強い、そしてちょっと青臭い熱血漢という役どころ。いずれ劣らぬ個性派そろいの中では「真っ当」な若者。(「エロイカより愛をこめて」の「Z(ツェット)」みたい?)
猪突猛進な奮闘ぶりや、強烈な個性の先輩探偵たちの中で戸惑っている様子に、見ているほうもつられてどぎまぎしたので、「観客をひきつけて物語の世界に引き込む」という主役と狂言回しを兼ねた役割をうまく果たしていた思う。
足をピンと伸ばした立ち姿なんかめちゃめちゃ決まっているし、見た目はスーツをきっちり着こなしていてスマートなのに、どこか頼りなさそうという、不思議な不安感を醸し出していた。
「探偵事務所5」は監督のこだわりと娯楽性がうまく折り合ったところが楽しめたんだと思う。
主演俳優2人のチョイスも、そのあらわれだったりして。
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追記:
音楽がとても気に入ったのだけど、サントラが発売されていないし、主題歌ばかりを聴いているとさすがに飽きてくるので、なにか混ぜてプレイリストを作ろうと思いたった。
どうせなら探偵物でまとめたいと「探偵物語」「俺たちは天使だ」のテーマを選曲。ついでに「ルパン三世'78」と「太陽にほえろ」(笑)も入れてみて、さらに「濱マイク」のテーマを追加。
ロック色が強い分、「探偵事務所5」のほうが好みだけど、「濱マイク」のテーマもカッコよいですね。
そこへ佐野元春の「Back to the street」(アルバムではなく曲のほう)を追加して、とりあえずは完成。
「Back to the street」は探偵とはまったく関係ないけど、探偵ドラマの音楽と意外とあうのが発見だった。
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