« BOYS~GRASSROOTS | トップページ | マスコミっていつから風紀委員になったの? »

2006年2月 9日 (木)

カラヴァッジォと白い魔女

本とか映画を選ぶ時、基本的には自分の好みから逸脱しないというか、あまり冒険はしないほうなんだけど、ほんのときたま、自分の本来の嗜好ではないものに手を出して、予想外に影響を受けてしまうことがある。
映画「カラヴァッジォ」と、カラヴァッジォの絵画がそれだった。

映画の「カラヴァッジォ」は最初レンタルビデオで見たのだけど、きっかけは勘違いというか魔がさしたようなもの。
コスチューム物が好きなので、16世紀の画家の話だから借りてみるかと見始めたら、たしかに16世紀なのだけど、衣装は現代と変わらないし、暴力的だし、枢機卿の使者は突然バレエを踊りだすし・・・と、内容も描写も到底好みとはいえないものだった。
だけど、薄汚れた格好をした娼婦レナが、豪華なドレスを身にまとった瞬間から顔つきが変わり、野心を抱いていく様子、レナをモデルに「マグダラのマリア」を描く場面が妙に心に残って、ビデオとDVDを買ってしまった。はい、この2つの場面を見るために。

その後、都内でカラヴァッジォ展があった際に、映画を見たのも何かの縁だと思って出かけたのだけど、見た当初は、とにかくリアルで激しくてグロテスクな絵が多いし、展示会場である庭園美術館のアールデコの装飾とのミスマッチもあって(バロックとアールデコは合わない!)、感銘を受けることもなく、わりと不満たらたらでその場を後にしたのだった。連れは人ごみで不機嫌になるし。

が、後日、別の絵画展(西洋美術館だったか)を見にいったところ、カラヴァッジォの作品とか、影響を受けた作品がなんとなくわかるようになっていて、そういう自分の変化に驚いた。
カラヴァッジォ展ともう一つの絵画展は同じ人と一緒にいったのだけど、連れも同じことを言っていて、カラヴァッジォの絵には感覚に働きかけるナニかがあったみたい。
「こういうこともあるんだな」と思って、以来、大きな展覧会がある時は、好みではなくても時間が許すかぎりは努めて足を運ぶようになりました。
きっとカタログとが画集ではダメで、本物の絵を見たせいだと思うので。
逆に、好きな絵は、人ごみの多いところに出かけなくても、家でのんびり画集をながめるだけでも楽しめる。(それでも、本物が来れば出かけてしまうけど。)

3月に公開される「ナルニア国物語」で魔女を演じるのが、「カラヴァッジォ」でレナを演じたティルダ・スウィントンで、「ナルニア国」は劇場で見る映画の有力候補ではなかったのだけど、ティルダ・スウィントンが白い魔女なら見てみようかなと思った。
実は、「ロード・オブ・ザ・リング」のガラドリエルは、ティルダ・スウィントンに演じてほしいと思っていた。
ガラドリエルを演じたケイト・ブランシェットに特に不満があるわけではなく、ガラドリエルの美しさや威厳を上手く演じていたと思う。
ケイト・ブランシェットは演技としては完璧といっていいのだけど、ティルダ・スウィントンだったら、もっと人間を超えた存在、ガラドリエルの優しさと怖さが混在した神秘的なエルフの女王を、より自然に鮮明に造型できたんじゃないかと思うのです。
と、賞賛しつつ、出演作は「オルランド」と「エドワード二世」くらいしか見ていないのですけどね。

映画「カラヴァッジォ」には若き日のショーン・ビーンも出演していて、この頃はカミソリみたいなぴりぴりした雰囲気を持つすごい美青年だった。ディカプリオを整えた感じ、とでもいうか。
劇中の「マグダラのマリア」を描く場面は、衣装も構図も絵とそっくりなのだけど、この絵に関しては、本物の絵よりも映画のほうが実は好きだったりします。
マグダラのマリアに扮した、レナ=ティルダ・スウィントンのうつむいた横顔が非常に美しくて。

DVDからビデオに切り替える際、捨てるにはしのびないセルビデオをまとめて実家に送ったところ、母が喜んで見まくったらしいのだけど、「カラヴァッジォ」だけは「あれは何?」と怒っていた。
たしかに万人ウケする映画じゃないし、わかりにくいものを送ったとは思うけど、怒ることはないと思うんだな。

|

« BOYS~GRASSROOTS | トップページ | マスコミっていつから風紀委員になったの? »

つぶやき」カテゴリの記事

映画よもやま話」カテゴリの記事

美術館と展覧会」カテゴリの記事

コメント

カラヴァッジオの絵は、好き嫌いを別にして、こちらを引き付ける”強烈な絵の磁力”のようなものを感じます。あの独特の感じはやはり、現地イタリアの教会堂の中などで見るべきものではないでしょうか。リアリスティックな表現ですが、ほとんどが宗教画ですし。そういう知識もなく見ると、グロテスクで残酷な感じしか受けないのでは・・。
「天使の手のなかで」(ドミニック・フェルナンデス著)というパゾリーニの伝記小説と、須賀敦子さんのエッセイに彼の絵がモチーフとして出てきたのを思い出します。

(今、日本VSアメリカ戦を観ていますが、アメリカ強いですね。日本の苦手なタイプのチームですね。前半は頭を抱えてました。)

投稿: azami | 2006年2月11日 (土) 14時33分

コメントありがとうございます。
イタリアではありませんが、マルタに旅行した際に教会で展示されているカラヴァッジォの絵を見ました。
azamiさんがおっしゃるとおり、教会で見た時はあまりグロテスクさを感じなかったように思います。生々しさが消えるというのか。展示されている場の雰囲気って大きいですね。

(アメリカは堅実で粘り強いチームでしたね。日本代表は、なんだか途方に暮れているように見えてしまいました。)

投稿: きつね | 2006年2月11日 (土) 22時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49211/8579648

この記事へのトラックバック一覧です: カラヴァッジォと白い魔女:

« BOYS~GRASSROOTS | トップページ | マスコミっていつから風紀委員になったの? »