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2006年2月24日 (金)

写真集「ヴィスコンティの遺香」

「ヴィスコンティの遺香」という写真集があります。
映画「山猫」のロケ地、生前の状態に戻したルキノ・ヴィスコンティの自宅や別荘等を篠山紀信が撮影した写真集で、「ルートヴィヒ」と「山猫」の衣装、ピエロ・トージ(衣装デザイナー)のデッサン、関係者のインタビュー、全作品リストなど資料としても貴重な写真やデータも収録されている。
ヴィスコンティ家は遡るとミラノ公国を支配していた家なので、その邸宅や別荘となると、歴史的な興味だけでも楽しめるし、建物や調度の数々は、ただ豪華なだけでなく格調の高さ、趣味の良さをしみじみと感じます。
買ったときは生涯で一番ビンボーな時期だったけど、思い切って買ってよかった(涙)。

本の中にイスキア島の別荘の寝室の写真があるのだけど、暖炉の上にヴィスコンティのお母さんの肖像画と輝くばかりのヘルムート・バーガーのポートレートが飾られていた。
ヴィスコンティとヘルムート・バーガーというと、その関係についてはいろいろいわれている(というか事実、ですね)ことがあるわけだけど、その写真を一目見て、すっかり胸打たれてしまいました。
ヴィスコンティの母親への思い入れはそれは深くて、そのことは「ベニスに死す」、「家族の肖像」等からもうかがえるけれど、その最愛の母親の写真と並べて写真を置くほどにヘルムート・バーガーを好きだったのか、と思って。

そんなヴィスコンティが、ひとたび映画の撮影になると、ヘルムート・バーガーには周囲には残酷に思えるまでに厳しかったということだけど、それこそが「映画監督」の「俳優」に対する愛情なんだと思う。
適当なところで妥協してOKを出すのは決して役者のためにも作品のためにもならない。
で、プライベートではヴィスコンティに対して驕慢な態度を取っていたというバーガーが、撮影中は監督に従ったというのも、根っこのところでは偉大なる監督への敬意があったからでしょう。
ま、撮影中にも生意気な態度を取るようでは「顔が良いだけのバカ」ということになってしまうので、いくら美形でもヴィスコンティが愛するはずはないですが。

ところで、世の中にはゲイネタを好きな人っていうのが意外と存在するのですね。
それもゲイを扱った作品(文学、映画etc.)が好きということではなく、「○○ってゲイだよねー」という「話題」を好む人。
ネットでも「○○はゲイだ」と嬉々として決めつけているのをよく見かけるし、そういう人は身近にも若干いるけど、そこに「フフ、私にはわかるのよ」という、ちょっとした優越感のようなものがほのみえるのはナゼだろう。
それって得意になることではないぞ、と思うのだけど。
これに限らず、「○○ってほんとは××だよね」の"××"に世間一般でネガティブとされる要素が入る場合は、眉に唾つけて聞くようにしております。


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コメント

こんばんは、またお邪魔します。
この写真集が出た事や、篠山紀信の談話(確か、玉三郎の写真集を持って撮影の許可をもらいに行った等)は覚えているのですが、写真集は見たことがありません。ヴィスコンティから関心がそれていた時期だったのでしょうか。

「ルードヴィヒ」の最期は無惨とも言えると思うのだけれど、あの映画のヘルムート・バーガーの演技には意外に感心したのを覚えています。他の映画では神経質すぎる役柄やあの声があまり好きではなかったのですが、あの映画では、ワーグナーを辟易させるエピソードなど、こういう演技もできるんだーと少し見直したのを覚えています。

投稿: azami | 2006年2月26日 (日) 01時32分

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