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2006年8月16日 (水)

「のだめカンタービレ」~規律の先で手にする大きな自由

「のだめカンタービレ」ドラマ化とのこと。
うーん、うれしいような、うれしくないような。
上野樹里の「のだめ」は良いのだけど、玉木宏の千秋は微妙。
美形、長身というポイントはクリアしているとは思うけど、21~23歳の千秋を演じられる年齢の俳優の中では小栗旬が一番イメージに近いと思っていた。
年齢を度外視すると西島秀俊か谷原章介なのですが。漫画の絵のイメージに近い美形、長身という点で西島秀俊、美形、長身、「オレ様」を演じられる個性という点で谷原章介をチョイスしてみました。でも、さすがにこの2人に大学生役は無理だろう・・・。
月9のドラマに多くは望まないけれど、楽器の吹き替えをあまり不自然でなくやってくれるといいな。
まあ、ラフマニノフのピアノ協奏曲のピアノ連弾バージョンを聴かせてくれたら、多少のことは目をつぶります。

--*--*--
「のだめカンタービレ」の主人公「のだめ」こと野田恵は、曲を一度聴くと耳コピーできてしまう耳の良さと記憶力、大きな手と卓越した指先のテクニックというピアニストにとっては喉から手が出るほど欲しい(に違いない)身体条件と能力に恵まれながら、楽譜を見て弾くのが苦手で、演奏はすべて自己流。
ピアノ以外も、部屋はゴミ溜め状態、「お風呂は1日おき、髪を洗うのは4日おき」、同じ服を何日も着ている、「ギャボー」「ムキャー」と奇声を発する等、とんでもない女の子です。
将来の希望は幼稚園の先生で、強制されるのが大キライ。「自由に楽しくピアノを弾く」ことしか考えていない。
従来の漫画によくあるパターンでは、こういう野生児みたいなキャラクターは、「自由な感性を活かす」とかいう方向に向かいがちだったけど、「のだめ」はクラシック音楽に正面から取り組むようになっていく。

この「のだめ」が変わるきっかけになるのが、もう1人の主人公・千秋真一。
性格は「オレ様」で、ピアノもヴァイオリンとも実力は学内でトップ、他人にも厳しいけど自分にはもっと厳しい天才、というキャラクター。
加えて容姿端麗、頭脳明晰、家は金持ち。でも、飛行機恐怖症で海外へ行けないというのが弱点。
この千秋のようなキャラクターも、ありがちなパターンとしては、「のだめに影響されて自由に目覚める」という方向に行きかねないのだけど、「のだめ」をはじめとする個性的な面々に影響は受けつつも、千秋はあくまでもクラシック音楽の王道ともいうべき道を歩みます。

主人公たちが安易に「感性」とか「自由」に逃げたりしないのが「のだめカンタービレ」の一番好きなところ。
それと、「のだめの潜在能力を千秋が発掘するお話」ではない、ことも。
のだめの才能は、「近所の音大のお嬢さん」と「ピアノ教室のスパルタ教師」によって、5才の時に既に見出されているし、桃ケ丘でも谷岡先生は知っている。
ただ、「のだめ」の側にそれを伸ばそうというモチベーションがないだけで。
その「のだめ」のモチベーションとなるのが千秋。
一つの曲を弾きとおしたことすらなかったのが、千秋が指揮したベートーヴェンに触発されて交響曲をまるまる一曲ピアノで弾きとおしてしまったり、ラフマニノフの協奏曲を弾きたいと思ったり、ついにはコンクールへの出場を決意したりと、少しずつ変わっていく。
熱血教師ハリセンの指導と千秋の助言のもと、根気よく楽譜に取り組むようになるのだけれど、だからといって小さくまとまるということではない。
ほとんどの曲は耳コピーで自分流に弾くことができる「のだめ」にとって、それまでは楽譜はただの記号にしか過ぎなかったけれど、「千秋が指揮するオーケストラと共演」という将来の夢を果たすためには、それまで避けていた勉強をしなくてはならない。
ただ、自由に、気の向くままにピアノを弾くだけでは、オーケストラとは合わせられないし、より大きくて深い表現はできないから。
本当の自由は試練を乗り越えた先にあるし、本当の個性はちょっとやそっとで消えたりしない。

・・・と長々と書いてしまったけど、小難しいことを考えず、随所に散りばめられたギャグだけでも十二分に楽しい漫画です。
「のだめ」がやる気を起こすまでを描いた日本編、やる気を出した「のだめ」と飛行機恐怖症を克服した千秋が奮闘するパリ編、どちらも面白い。

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