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2006年8月 3日 (木)

リバティーン

観たのはもう4ヶ月近くも前になるけれど、映画「リバティーン」の感想を。
ジョニー・デップ主演のチャールズ2世治世下の英国が舞台の映画です。
ジョニー・デップでコスチューム物となればそれだけでも楽しめるはず、だったのが感想は微妙。
「美しいジョニー・デップ」を見たわけだし、見て損をしたかといえばそういうわけではないけど、二度は見なくてもいいかなという感じ。
光の使い方や沈んだ色調にこだわって撮ったのはなんとなく伝わってきて、この頃の絵画の色調を出そうとしたのかと思ったけれど、画面がただ薄暗くて陰鬱に見えてしまって「美しい」と感じるまでの域には達していなかったのがもったいなかった。

ジョニー・デップは美しい容姿でいる物語前半よりも、梅毒で崩れた顔になった後半のほうが活き活きしていたのが彼らしいといえば彼らしいけれど、全体的にジョニー・デップの「真面目さ」が出てしまっていた。繊細で深みのある演技なんだけど、映画としてはそれが裏目に出ていたというのか。
主人公のジョン・ウィルモットは苦しそうに放蕩していて、「そんなに辛いんなら普通に生きればいいじゃないか」と思ってしまったくらい。役よりもジョニー・デップ本人のほうがずっと魅力的(苦笑)。
ウィルモットのことを観客に理解させたいのか、ただ眺めさせたいのか、映画としての「視点」が一定していないように感じてしまった。
この役にはジョニー・デップよりもオーランド・ブルーム(演技力の差は度外視してます)とかジュード・ロウのようなキラキラした美形のほうが適していたんじゃないかと思う。
ジョニー・デップの美しさというのは、どちらかというとウェットな美しさだし、そのために話全体のトーンが必要以上に沈んだものになってしまったような気がする。

この映画は元々は舞台の作品で、映画ではチャールズ2世役のジョン・マルコヴィッチがウィルモットを演じていたそうだけど、あと20年若かったらマルコヴィッチが適役だったと思う。
マルコヴィッチはキラキラはしていないけど、こういう傲慢な放蕩児役はうまいし、「危険な関係」のバルモン役の時なんか、あまりにはまっていて、ほんとに美形なんじゃないかと勘違いしてしまうくらいだった。

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