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2006年9月 6日 (水)

魔界転生(付記)

「魔界転生」の原作を読みました・・・といっても、かなり厚いので拾い読みの飛ばし読み。
決してお勧めできる本の読み方ではないけれど、舞台と原作の違い、舞台化にあたって原作の材料をどういう取捨選択をしたか、といったことはなんとなくつかめた気がする。

適宜端折ってはいるけれど、舞台は基本的に原作に忠実。
ただ、森宗意軒の役割を天草四郎に組み込んでラスボスとし、転生衆の「現世への未練、無念」をより強めて表現したところが違う点。

原作ではわりと呆気なく倒されてしまう(そこが哀れでもあるけれど)天草四郎が映画に続いて今回の舞台でもラスボス扱いなのは半ば必然だと思う。

四郎が出てこないと、普通にチャンバラモノ(転生十番勝負とか?)になってしまうのですね。十兵衛と対戦する剣豪たちが転生衆か生身の人間かの違いで。
そういう意味でも天草四郎の特異な個性は大きく、なにより「現世に残した無念の思い」が傍目にも一番強そうなのが天草四郎でもある。
宮本武蔵の「徳川家の剣術指南役になれなかったこと」、柳生但馬守の「剣の道における劣等感」などは、それが転生するほどの妄執になるところが人間臭さである、ともいえるけど、「島原の乱で殺された3万人の念」を背負った四郎に比べると無念さのスケールが小さい。

山田風太郎の説明好きなところなんかもうまく取り入れて笑える場面にし、転生衆、とりわけ天草四郎の哀しみを強めたところは、舞台で特に好きな点です。

天草四郎役の成宮君の演技も、四郎が壊れていく場面はもちろん圧巻なのだけど、こういうのは成宮君の得意とするところでもあるので、今回はそれよりも、さりげなく哀感を滲ませた演技により深みを感じました。
これで本当に23歳なの?、と。

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ところで、山田風太郎の「妖説太閤記」をちらっと目を通したのだけど、豊臣秀次切腹事件を「美男で女にモテる秀次に秀吉が嫉妬して殺した」という解釈で描いていて、これなら大河ドラマの柄本明の秀吉と成宮君の秀次にぴったりだし、側室が多いこととも整合がとれる。
「功名が辻」の設定で成宮君の秀次はムダに美形な気がしていたのですよね。秀吉もムダに性悪だし。
ただし、司馬遼太郎原作のドラマに山田風太郎の説を挿入してほしいとは思わないのだけども。
どちらも別々に味わうべきものだと思うから。

先日の「功名が辻」の予告に出てきた関白秀次の衣冠束帯姿の美しさには惚れ惚れしました。武将姿よりも衣冠束帯とか直衣のほうが服装としては好みです。
成宮君、「陰陽師」とか、源氏物語の若年期とか、平安期を舞台にしたドラマをやってくれないかなーと思ってしまった。
源氏の若い頃と夕霧の一人二役なども良いな(希望)。

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