四郎はまだ十代だから
舞台「魔界転生」の感想を見ていると、やはり沢田研二の天草四郎と比較しているものが目につく。
まあ、それだけジュリーのインパクトが強かったということなのだろうけど、ジュリー版天草四郎を「スタンダード」として語っているのをみると、それは違うんじゃないかと思ったりする。
そもそもジュリー版の映画自体、公開時は「原作とは違うけど面白い」という評価だったし、インパクトがどんなに強かろうとスタンダードじゃないだろう、と。
天草四郎が350年以上の時を超えて語り継がれているのは、平家物語の敦盛と同じく「若くして死んだ美少年」だからだと思う。時代は新しいけど白虎隊も然り。
天草四郎が「少年」ということは「魔界転生」の原作でも繰り返し記述されていることで、そうでなかったら山田風太郎も別の歴史上の人物を持ってきたんじゃないかと思う。もっと強そうな剣豪とかね。
「美青年武将の悲劇」というのもそれはそれでありかもしれないけれど、天草四郎にしても平敦盛にしても、命を落としたのが青年期に入ってからだったら、こうまで人々の記憶に残ったかどうかは疑問。
というわけで、ジュリーの天草四郎の魅力は認めるにやぶさかではないものの、撮影当時30歳を過ぎていたジュリーを基準にして天草四郎を語ることには異議を唱えたくなってしまう。
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