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2006年10月 2日 (月)

映画「梟の城」(CS)のことなど

CSで映画「梟の城」を観た。地上波放映に続いて二度目の視聴。

司馬遼太郎の同名の小説の原作に忠実な映画化。
原作のドラマ化・映画化というのは、ある種、感想文みたいなところもあると思うのだけど、「原作のここが面白い」という見どころがしっかりとおさえられている作品はやはり良い。
まあ、私が面白いと感じるものというのが、だいたい原作のツボを押さえているものに限られる、ということもあるのだけど。
かつての「風神の門」にしても、先月見たばかりの舞台「魔界転生」にしても。
別に原作どおりでなくてもいいけれど、忠実に創るにせよ、設定を変えるにせよ、原作をしっかり咀嚼してあるとないとではまるで違ってくると思うのです。

「梟の城」は、よーく見ると合成なのがわかったりとか映像的には粗が見える箇所がないわけじゃないけど、奥行きのある絵もまた多く、原作の雰囲気はしっかりと感じられる。
衣装の美しさ、この時代特有の風俗や異国情緒も見どころの一つ。

主人公の葛籠重蔵は、欲をいえばもう少し男の色気が欲しかったけど、中井貴一で特に不足はなし。長身で声が良いのは見栄えがする。
個人的には大河ドラマ「国盗り物語」でこの役を演じた露口茂がベストなのだけど年齢的に無理だし。
鶴田真由の小萩、葉月理緒菜の木さるもなかなか良かった。
秀吉役はマコ・イワマツで、つかみどころのない不思議な秀吉。
上川隆也が演じた風間五平は、顔は美しいし腕もたつけれどその使いどころを間違えて惨めな最期を遂げるけっこう悲惨な役どころ。
上川隆也のファンの友人には非常に不評で、ファンの気持ちもわからないではないけれど、俳優としての幅は広がったんじゃないかと思う。

この「梟の城」の風間五平役の印象があったので、「功名が辻」も、美化しない、原作のイメージに近い山内一豊像を期待してたんですけどね。まあ、脚本がアレではしかたがない。

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