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2006年11月

2006年11月30日 (木)

実相寺監督死去

「ウルトラマン」「帝都物語」の実相寺昭雄さん死去

ちゃんと作品を見たといえるのは「帝都物語」と「乱歩地獄」の「鏡地獄」くらいだけど、「鏡地獄」はおそらくかなりの低予算だろうに独自の世界をしっかりと作りこんでいて、美意識が感じられる映像だった。
手放しで好きとはいえないけれど、心のどこかにひっかかるなにかがありました。

おりしも時代劇専門チャンネルで「陰陽師」と「陰陽師Ⅱ」が何回か放映されていて、初めて「陰陽師」を見た時の印象が「帝都物語in平安」だったのだけど、それなら、いっそ実相寺監督に「陰陽師」を撮って欲しかった、なんてことを思っていた矢先の訃報。
昨年末にN響アワーに出演した際の話も興味深かったし、成宮君との作品をもっと見たかった。

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スリーピング・マーダー

ミステリー・チャンネルで放送していたアガサ・クリスティ原作の「スリーピング・マーダー」を見ました。
「回想の中の殺人」というプロットの、重要ではないと思われていた出来事や言葉が、見方を変えるとまったく違う意味を持つ、ということを発見したり、汚名を着せられていた死者が名誉を回復する過程が好きです。
その中でも「スリーピング・マーダー」は出色。

ジョーン・ヒクソンのミス・マープルは原作から抜け出たよう。
日本語で声を吹きかえているのが故山岡久乃で、ホームドラマで見るお母さん役や婦長さん役の山岡久乃はミス・マープルのイメージではないのですが、この吹き替えは声のトーンや口調を微妙に変えていて、ミス・マープルにぴったり。
このシリーズの字幕で放映された作品で、ジョーン・ヒクソンの声を聞いて違和感を感じてしまったくらいでした。
ジョーン・ヒクソンの声と話し方はフワフワとつかみどころがなくて、原作の本来のイメージからすると、このほうがミス・マープルらしいといえるのだけど、聞きなれると山岡久乃のほうがミス・マープルらしく感じてしまったから不思議。
アニメ版の八千草薫もかなり良かったのだけど、ミス・マープルって「優しくて上品」というだけではない、シビアなところもあるキャラクターなので、そこのあたりの奥行きは山岡久乃のほうが出せていたと思う。
このミス・マープルは、露口茂のシャーロック・ホームズと並ぶ好配役でした。

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2006年11月21日 (火)

春の雪(長い追記あり)

日本映画専門チャンネルで「春の雪」を観ました。
・・といっても、全編通して真剣に見たわけではないので、見た範囲での話になるけれど、セット・衣装・映像・音楽は良かった。
衣装好き・調度好きとしては、録画したデータをDVDに残しておいてもいいかな、と思うくらいに。
キャストも、大楠道代の蓼科、岸田今日子の松ケ枝家の大奥様、若尾文子の門跡の演技は時代の香りが漂ってくるようでした。

で、主役の2人なんですが、演技はすごく良かったと思う。台詞回しも立ち居振る舞いも感情表現も。
監督はたしかダメ出しをすることで有名な人だったと思うけど、この映画でも演技に妥協しなかったんだろうと思う。
だけど、それにもかかわらず、やっぱりミスキャストという感は否めない。
「顔」が違うんですよね。
清顕役の妻夫木聡は、清顕の心の動きはしっかり表現していて、原作を読む前ならば受け入れられたかもしれない。
でも、一度原作を読んでしまうと清顕には見えない。
原作の清顕は、もっと酷薄な美貌でエゴイスティックなイメージだから、妻夫木聡の現代的な、親近感のある容姿が邪魔になっている。
清顕役については、極論すれば「演技力<容姿と雰囲気」だと思う。
聡子役の竹内結子も、神経の行き届いた演技だし、きれいはきれいなのだけど、どうしても、あの顔は「明治の華族のおひいさま」には見えなくて。着物を着て、首が短いのは個人的にNG
2人とも演技面が完璧に近いだけに、「時代の顔」になっていないことに余計に違和感を感じてしまった。
「瀬戸内少年野球団」の夏目雅子、「それから」の藤谷美和子と松田優作等が、過去に「これは時代の顔だ」と感じた例です。

原作を読まずに、単純に明治・大正を背景にした悲恋映画として観るのなら、完成度の高い映画だけれど、原作を知っていると「これは違う!」と感じてしまうという、なんとも微妙な作品。
もっとも、私が原作「豊饒の海」連作を読んだのは、つい今年に入ってからのことで、それも橋本治の「『三島由紀夫』とはなにものだったのか」を読むのに、三島作品を一つも読んでいないのはまずいだろう、というのが読んだ動機なので、もともと三島由紀夫に深い思い入れがあるわけじゃない。
それに、映像作品はまず映像にこだわること、だと思っているけど、それでも「春の雪」が「耽美で懐古調の悲恋映画」になってしまうことにはしのびないものを感じてしまう。
もっと人間に対して冷酷で、シニカルで、それゆえに美しい物語なのに、と。

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2006年11月20日 (月)

椿山課長の7日間

「椿山課長の7日間」を観ました。
浅田次郎は読まないのだけど、映画は最初から最後まで飽きるところなく楽しめた。
泣かせる場面はあるけれど、あまり湿っぽく「さあ、泣け」という演出ではなかったのが良かったし、不覚にも泣けてしまった。

キャストはみんな良かったです。
椿山課長(西田敏行)の化身の伊東美咲はコミカルな役だといいですね。「タイガー&ドラゴン」のメグミも良かったし。
ホテルのバーでオヤジっぽくヤケ酒する場面が面白かった。
伊東美咲は演技力についてはいろいろ言われるけど、公開前のPR番組を見ていたら、機転の利くウィットのある人なんだなと思った。まあ、頭の良さと演技力は必ずしも一致するとは限らないものなのですが。
ヤクザの化身・竹内役の成宮君は、ひねった設定のきっちりと役作りする役は実にうまい。でも、そういう役は、得てして外見を犠牲にしていることが多いけど、今回は普通にイケメンだったのがうれしい。

けっこういろんな要素が詰め込まれた映画だけど、エピソードの中で特に心に残ったのは、椿山と父(桂小金治)の親子愛でした。

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映画館で観た予告の中で「エラゴン」を観にいく映画のリストに加えました。
ファンタジーだし、ジェレミー・アイアンズ、ジョン・マルコヴィッチ、ロバート・カーライルという出演者に大いに気をひかれて。
藤沢周平&山田洋次は守備範囲ではないので、観にいく予定はないけれど、「武士の一分」のキムタクは悪くない印象。
「NANA2」の予告も見たけど、主題歌は1のほうが良かったし、認知がどうしたと、なんだかドロドロした物語になるんですね。

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華麗なる一族

木村拓哉主演で「華麗なる一族」をリメイクというニュースを最初に見た時は、それほど興味はなかった。
でも、旧作のドラマは、親に隠れてドキドキしながら見ていました。
なにしろ昔のことなので内容はうろ覚えだけど、山村聰と小川真由美は子供心に強烈で、愛人兼家庭教師兼秘書(?)の高須相子(小川真由美)が緑色の振袖を着ている二子(島田陽子)に「お着物が緑だから口紅はオレンジがよろしいわ」と指示するシーンが妙に鮮烈に印象に残っている。
面白い物語と知りつつもドラマ化に興味がなかったのは、このところ重いドラマは避ける傾向にあったからですが、主役以外の出演者を見て気が変わった(笑)。
時代背景が原作のままということで、そこも期待したい点。
時代背景を忠実に映像化しようとすると、セットや衣装にお金がかかるけれど、そうかといって時代背景を安易に変更したり、昔の物語に現代の感覚を入れたりすると、物語の本質に影響するので好きじゃないのです。

万俵鉄平役は、個性だけでは演じられない役どころだけど、「ハウルの動く城」で"いわゆるキムタク"ではない演技をして、しかもかなりの好演だったので、台詞についてはあまり不安はありません。
未知数なのは挙措動作。「60~70年代の悩める御曹司」の動作や仕草ができるかどうか。
成宮君が演じる一之瀬四々彦(ヨシヒコ?映画では北大路欣也が演じた役なんですね)については、旧作で次女の二子(ツギコ)が縁談に気が進まないあたりはなんとなく覚えているのに、一之瀬の存在はなぜか記憶になかった。
鉄平の部下ということなので、成宮君とキムタクの共演場面が楽しみです。
こういう濃い背景のドラマは成宮君に合っていると思うし。

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2006年11月 6日 (月)

いそがばまわれ

私の高校時代、日本史と世界史は選択科目だったけれど、「自分が好きだから」という理由で世界史を選択した。
今にして思うと、好きな科目を学校の授業で勉強することはなかったのかもしれない。
好きな科目だからこそ、どうせ誰にも言われなくても本を読むなり何なりするのだから、学校では受験に有利な科目を選ぶほうが利口だったかな、と。
でも、当時はそこまで頭がまわらず、好きな科目を選択し、その科目で受験できる大学を選ぶ、というのが当然だと思っていた。

未履修(履修逃れ?)問題の報道を見ていて思うに、生徒が受験に不利なことをしたくない、受験に有利な科目だけ勉強したいと考えることは、まあわからないでもないです。高校生なんて、まだ視野の狭い、短絡的な思考しかできない年頃だから。
でも、学校側がそれを率先してやってどうするのかと。
高校が受験勉強のためのみに存在する場所ならば、着たくもない制服を着て、時間通りに通う意味なんてない。
受験のための教科を教える技術なら塾や予備校の講師のほうが高いだろうし、資格を取得するための勉強なら自習で用は足りる。
でも、その時無駄だと思ったことが後で役に立つことは多々あるし、即効性のあること、目に見える効果があることだけが勉強ではないことは社会に出ればわかる。
そういうことも含めて教えるのが学校であり教師であり、そして親の役目であるはず。

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2006年11月 1日 (水)

のだめカンタービレ Lesson3

Lesson1の犬、Lesson2の野良猫に続いて、千秋の脳内シーンで上野樹里が「マッチ売りの少女」と「フランダースの犬」のネロになっていたのに大笑い。
アニメを出すのかなと思ったら、こうきましたか。
「マッチ売りの少女」は、雪の降るセットにそれらしい服装をした通行人、「フランダースの犬」もアントワープの教会らしきセットと、一瞬の場面なのに創りこんでる(笑)。
「タイガー&ドラゴン」の劇中落語もそうだったけど、こういうところを手抜きせずにしっかり映像として見せてくれるととてもうれしい。
佐久桜役のサエコの声はシリアスなドラマで聞くと怒りがこみあげて来るんですが、演技も含めてコメディにはあっていると思う。パスタ一気食いも迫力があったし。
桜の家が原作よりも豪邸で、ヴァイオリン隠し部屋もパワーアップしていたのもドラマならでは。
そして、桜父が紀州大納言升毅。「驚くよ?」はツボでした。
悲しい場面で流れる「愛の悲しみ」がチェロ版なのも、ヴァイオリン版よりも物悲しくてGJ。

原作の中では比較的地味な話なので、エピソードの取捨選択としては佐久桜の話はちょっとどうなのかなと思ったけれど、小ネタが面白かったし、桜のひと声(サエコの声はここでも効果的だった)がSオケを存続させることになったから、ドラマとしてはこれで良かった。

のだめと千秋の「もう離婚ですっ」「おお、そうしてくれ」のやりとりがなかったのは、原作ファンとしてはちょっと物足りない気もするけれど、ドラマは時間経過が原作よりも急で、のだめの「勝手に妻気取り」までは描いていないから、ドラマの中の2人の関係からすると省いて正解かも。
原作と変えているところも伏線の張り方がしっかりしているし、整合をとっているから、物語として破綻がない。
たとえば、峰がAオケの練習を見学する場面。
コンマスの役割を認識→みんなに頼られる千秋に嫉妬、という流れにつながっていたし、この先の展開にもつながる伏線だと思うのだけど、これがあるとないとでは大違いなんですよね。
#原作を改変して歴史上の人物の人間性を次々破綻させてしまった、どこかの大河ドラマの脚本家にも見習ってほしいもんだ。

まあ、面白ければ理屈なんてどうでもいいのだけど、結局、面白いものはしっかり創ってある、と思うのです。

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