スリーピング・マーダー
ミステリー・チャンネルで放送していたアガサ・クリスティ原作の「スリーピング・マーダー」を見ました。
「回想の中の殺人」というプロットの、重要ではないと思われていた出来事や言葉が、見方を変えるとまったく違う意味を持つ、ということを発見したり、汚名を着せられていた死者が名誉を回復する過程が好きです。
その中でも「スリーピング・マーダー」は出色。
ジョーン・ヒクソンのミス・マープルは原作から抜け出たよう。
日本語で声を吹きかえているのが故山岡久乃で、ホームドラマで見るお母さん役や婦長さん役の山岡久乃はミス・マープルのイメージではないのですが、この吹き替えは声のトーンや口調を微妙に変えていて、ミス・マープルにぴったり。
このシリーズの字幕で放映された作品で、ジョーン・ヒクソンの声を聞いて違和感を感じてしまったくらいでした。
ジョーン・ヒクソンの声と話し方はフワフワとつかみどころがなくて、原作の本来のイメージからすると、このほうがミス・マープルらしいといえるのだけど、聞きなれると山岡久乃のほうがミス・マープルらしく感じてしまったから不思議。
アニメ版の八千草薫もかなり良かったのだけど、ミス・マープルって「優しくて上品」というだけではない、シビアなところもあるキャラクターなので、そこのあたりの奥行きは山岡久乃のほうが出せていたと思う。
このミス・マープルは、露口茂のシャーロック・ホームズと並ぶ好配役でした。
ドラマのオープニングでメインキャストのクレジットが出るのだけど、John Moulder-Brownという名前に何か見覚えがあるなーと思ったら、ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」でルートヴィヒの弟のオットー親王を演じた美少年ではないですか。
「スリーピング・マーダー」の役はヒロイン・グエンダの夫。
美少年の面差しをそのまま残しつつ、しかも物腰に英国紳士らしさがあふれる美青年になっていました。ちょっとブラピに似ているかも・・・いや、年齢はJ.M.Brownのほうが10歳くらい上なので、ブラピが似ているかも。
ネットで近影も見たけれど、今も素敵。
「俳優は作品の中で輝けば良い」と、基本的には思っているのだけど、「ゴッドファーザーPart3」のヘルムート・バーガーを見て少なからずショックを受けた身としては、昔の美少年が美青年→美中年(?)と良好な経過を辿っているのを見るのは、なんとなくうれしい。
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