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2006年12月10日 (日)

周荘、そして西遊記

TBSの「世界ふしぎ発見」で中国の周荘の街を紹介していた。
周荘は2年前に上海に行った時に、オプショナルツアーで行ったのだけど、「風光明媚」という言葉がぴったりの風情のある街。
もともとの目的は蘇州だったけど、近代化された蘇州よりも周荘のほうが気に入りました。
テレビで紹介されたのはなんとなくうれしい。
レンズを通すと実物よりもきれいに見えることが多いけど、周荘はほんとにきれいな街です。

ところで、このニュース。
女性の三蔵法師「西遊記」バッシング
【中国】香取慎吾の映画『西遊記』に中国ブロガー怒りの声

>報道によれば、ブロガーたちの間で最も不満が大きいのは「三蔵法師を女性が演じている」という点。他にも「ストーリーやキャラクター設定が原作と大きくかけ離れており、悪ふざけが過ぎる」「孫悟空にスカートを履かせている」「猪八戒が大きな帽子を被っていてイメージが違う」といった意見が出ている。

今、スカパーのファミリー劇場で日テレ版を放送していて、特撮技術の限界(キン斗雲に乗っている悟空が見るからに人形(笑))はわかってしまうけど、中国でロケしただけあって画面にも奥行きがあるし、ゴダイゴの音楽も良いし、衣装もセットも神経が行き届いていて、とにかく「西遊記」の世界を再現すべく、気合を入れて丁寧に作っていたのがよくわかる。
馬までちゃんと演技していたりするし。
批判されたのがこの日テレ版のほうだったら馬耳東風、「ウルセー、バーカ」と思うだけなのだけど、フジテレビ版「西遊記」となると、また話は別で。

日テレ版だって、荒唐無稽なのは一緒だし、ストーリーもオリジナルがほとんどだったけど、「唐の時代」ということは踏まえていたし、西遊記の世界や中国に対するリスペクトがあった。
フジテレビ版に決定的に欠けていたのがそこだったと思う。
ファンタジーといっても、玄奘三蔵は実在の人物なのに、衣装もセットも時代考証をまるで無視。
馬(原作ではわりと重要な役割)は出てこない、キン斗雲と悟空の分身も出てきた記憶がない、孫悟空のアクションは日テレ版に遥かに及ばない。
CGもSFXも発達しているし、キャスト自体は悪くなかったのだから、原作の面白さを出すことは可能だったはずなのに、手抜き感が否めなかった。
なので、最も不満が大きいのが女性の三蔵法師、というのには「え、そこが不満なの?」と思うけれど、私が映画「SAYURI」に感じたような違和感や不快感を、中国の人がフジテレビ版「西遊記」を見て感じたのだとしたら、そりゃ気分も害するだろうと思う。
単純な勘違い・思い違いは大目に見ることができても、自国の文化に対する傲慢な姿勢や無神経さってカチンと来るものだから。
日本人は、日本を揶揄されることに対して大らかで、それは長所でもあるけれども、日本以外の国が大らかじゃないことは認識しておく必要があると思うのです。

それに、多くの日本人にとって「西遊記」は子どもの頃から慣れ親しんだ話だし、中国の歴史や文化も決して疎遠なものではなく、アメリカのミュージカルの演出家が日本の文化を知らないのとはワケが違う。

で、話は戻るけれど、上海近郊は「臥薪嘗胆」とか「呉越同舟」などの故事の舞台で、そのあたりのことはガイドさんよりも詳しかったりした。
それは漢文の授業ゆえで、こんなふうに他国の故事についての知識がある、それを学ぶ余裕がある、というのは日本人が誇ってもいいことなんじゃないかと思うのです。
「ゆとり教育」よりも、そういうことを知っていることこそが「ゆとり」でしょう、と。

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 副題は「会社を休んで59日間 地球一周」とある。  大学を出てフリーターをしながらお金を貯め小さな会社をつくった30代後半の男。一生懸命働くものの不景気も手伝い気持ちは空回り。ちょっとした出来事がきっかけとなり、突然、仕事を放り出し、大学時代以来2回目の海外旅行に出る。出発は大阪港からフェリーで上海へ。そこから鉄路シベリアを経由しロンドン。さらにアメリカも東海岸から西海岸まで大陸横断鉄道で移動し、成田へ。仕上げは「ムーンライトながら」だ�... [続きを読む]

受信: 2006年12月16日 (土) 21時04分

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