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2007年1月

2007年1月24日 (水)

赤ひげ診療譚~鶯ばか

スカパーの日本映画専門チャンネルで黒澤明監督の「赤ひげ」を観て号泣。
さらに山本周五郎の原作「赤ひげ診療譚」を読んで、また号泣してしまった。
人情モノが好きじゃないもので、これまで山本周五郎を読まず嫌いしていたけど、情がありつつ情に浸りきったりしない描き方は、かなり好みかもしれない。

「涙のつぼ」は一家心中のエピソード。原作では「鶯ばか」に出てくる話です。
映画は7歳の長次を中心に描かれていて、長次役の頭師佳孝の演技が素晴らしかった。
「遠くに行くことになった」と永の別れを告げに来た時の表情、瀕死の場面の演技のせつなさといったら。
生死の境にいる長次の魂を呼び戻そうと、養生所で働く女たちが井戸に向かって必死に叫ぶ場面もグッときた。

原作では長次の母・おふみの口から身の上話が淡々と、でも切々と語られ、無力だけれど悪い人たちではないことが察せられる。
一家心中のきっかけは7歳の長次が板塀のきれっぱしを泥棒し、それが発覚したこと。
でも、そのことで騒いでいるのは近所の鼻つまみ者の女だけで、被害に遭った人自身は事を荒立てようとはしておらず、むしろ穏便に済まそうとしている。
そして、近所の人たちも長屋の差配も、訴えでた女よりも長次たち一家に同情している。
長次の両親にもう少しだけ図々しさがあったら、生き続けることもできただろうに。
でも、彼らはそれを潔しとしなかった。もちろん、あと少しでも生活力のある人たちだったら幼い長次が泥棒しなくても済んだのですが。
この無力と矜持がなんとも切なくて、「生きて苦労するのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか」という長次の母の問いかけが重い。
淡々とした語り口であるがゆえに、なおのこと泣けてしまう。

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2007年1月19日 (金)

間口は広く、ハードルは高く

のだめがコンクールの本選で弾くモーツァルトのピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310(300d)とシューマンのピアノ・ソナタ第2番ト短調 作品22、それからドラマのBGMで使われていたドヴォルザークの「チェコ組曲」を探し求めてCD店へ。
でもこれが見つからなーい。
というわけで、結局「のだめカンタービレ ベスト100」を購入。
パッケージに演奏者の詳細が載っていなかったので、既に持っているCDとかぶるとイヤだなと、一抹の不安があったのだけど、そういうこともなく、これは予想外に良い買い物だった。

まだ全部は聴いていないけど(なにしろ100曲ですから)、グレン・グールドの弾く「悲愴」が好き。
鬼のような早弾きで、原作で「のだめ」がこの曲を弾く場面を読んだ時にイメージしたのがこんな感じ。
愛聴盤のグルダの演奏と比較すると演奏時間が2分短いくらいに速いけど、速いだけでなく透明感のある音で、第二楽章はちゃんと叙情性もある。
グールドの演奏を聴いて、「やはり心に訴えてくるのは演奏者の感性なんだな」と当たり前のことを改めて感じたりしました。
ただこれは、テクニックという高いハードルをクリアしているからこその話だけれど。

「ベスト○○」というと、入門編のCDというイメージがあるので、入門編でグールドはどうなんだろう?という思いはあるものの、のだめのベスト100ということなら納得の選択。

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2007年1月15日 (月)

奇を衒わない

去年の年末にWOWOWで放送された「魔界転生」の録画を見た。
中村橋之助・成宮寛貴主演で舞台化されたものです。
カメラのアングルが凝りすぎというか、忙しく変えすぎて落ち着かない。
もっと普通の撮り方にしてほしかった。
映画的な雰囲気を出そうとしたのかもしれないけど、逆効果だと思う。
正攻法の人間ドラマにしたところがこの舞台の良さでもあるので、歌舞伎の舞台中継みたいな感じのほうが良かったのに。
斬新ならいいってもんじゃないよなーと思う。

それから大河ドラマ「風林火山」のこと。
第一回と第二回を見た感じは、久々の正統派で重厚な大河ドラマを期待できそう。
登場人物が現代思想を語らないだけで安らかな気持ちでドラマを見られるし、キャストもストーリーも良いじゃないですか。
山本勘助が武田家に仕官する以前の話というのは、原作にはないドラマのオリジナルだけど、原作の勘助と照らし合わせても違和感がない。
今のところ、とりあえずは好印象。

第二回で勝千代(武田信玄)が元服して、俳優交代になってしまったことがとても残念。
勝千代役の池松壮亮くんは「義経」の源頼朝の少年時代、「新選組!!土方歳三 最期の一日」の市村鉄之助を演じて気になっていた人で、もっと見ていたかった。
可愛くて健気な子役・少年俳優は数いるけれど、池松壮亮くんの演技はそれだけではない、なにか深いものを感じます。
その実力を発揮できるに不足のない脚本・演出だった、というのもあるけれど。

優れた脚本を生かすかどうかは俳優にかかっているけれど、俳優が力を発揮できるかどうかもまた脚本次第。

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2007年1月14日 (日)

古典的ミステリーとのつきあい

「悪魔が来りて笛を吹く」の感想を見ていたら、「犯人わかっちゃった(誇)」的な感想がいくつか目に留まって、あのドラマのツボはそこじゃないだろう、と思ってしまった。
そう思うのは、私自身があまり犯人を考えながら読んだり見たりしなくて、先に犯人を知ってから読むのもそんなにイヤじゃない、というのもあるし、古典的な作品で、今さら犯人当てもなかろうというのもある。
金田一耕助モノは一見極悪人じゃなさそうな人が犯人、というのは定番でもあるし。
それと、ドラマとしては、先に犯人が示されていて、探偵が追い詰めていく過程を描く倒叙モノのほうが好きです。
先に謎解きの部分を読んで、それから最初から読み始める「勝手に倒叙モノ化」を試してみたこともあったけど、これはすぐにやめました。
「どこでフェイクを入れたか」とかがわかるので構成の粗さがしをするにはいいけれど、物語の楽しみ方としては不健全だろう、と。

ただ、自分が犯人さがしをしないといっても、マナーの観点から、未読の人に推理小説の犯人や話の結末をしゃべったりはしませんが。
で、ミステリーの楽しみ方として犯人を自分で推理するというのはもちろん王道なのだけど、私はWhoよりはWhyに興味がある。

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2007年1月12日 (金)

肌襦袢

フィギュアスケートの衣装の肌襦袢(というのか)の使い方がかなり気になる。。
スパンコールやチョーカーで肌襦袢っぽさを消したり、シースルーみたいな感じを出しているのは良いけれど、首や袖の部分を処理しないでそのまま使うのが本当にキライ。
肌襦袢でワンショルダーとか、肌襦袢でデコルテのラインを開けた衣装とか、近くで見るとみっともないったらありゃしない。
露出できないなら、襟のつまった衣装にすればいいじゃないか。
浅田真央の衣装が好きじゃないのも、あの肌襦袢使いが許せないからです。
SPのノクターンの衣装などは、カメラが近づくとオヤジのラクダのシャツの上にシーツを巻きつけているみたいにみえるし、スケート・アメリカの時のフリーの衣装も最悪だった。
フィギュアスケートの衣装が、いくら遠めで勝負するためのものとはいっても、肌襦袢なのが丸わかりで露出度を高くするよりは、本人の体型や露出の許容範囲を考えて衣装をデザインすりゃあいいじゃないかと思うのです。
いっそ、トリノ五輪のエキシビションのナフカくらい大胆な使い方なら「やるなぁ」と思うけれど。

で、紅白歌合戦の裸ボディスーツがかなり尾を引いているみたいだけど、本当に裸だったわけじゃないし、この騒動は予想外。
だってボディスーツだったのは丸わかりだったし。
件の場面、「DJ OZMA」を初めて見る私は、若い従弟妹たちから「これ氣志團なんだよー」と非常に基本的なことを教わりながら見ていた。
従妹が「あれ、裸じゃない?」と騒ぎ始めた時は、「ただの全身タイツでしょ」と非常に冷静に受け流してしまいました。

「肌色のタイツを裸に見せる」のも、「肌襦袢の上に露出度の高い衣装を着る」のも、さして変わらないように思えてしまうのですが、私には。
どちらも美観は良くないし、好きじゃない。

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2007年1月 8日 (月)

悪魔が来りて笛を吹く

放送から一日遅れで録画を見ました。

横溝正史は「犬神家の一族」と「本陣殺人事件」を読んだくらい、ドラマや映画の金田一耕助モノは放送しているとなんとなく見ていて、ものすごく好きというわけではないけれど、それなりには興味があるという感じ。
そういうなかで、市川崑版は結構好きで、去年の11月にスカパーで放送した時は、なんだかんだと見ていたのだけど、不満だったのが二枚目系(っていうのだろうか)のキャストのいくつか。
「犬神家の一族」のあおい輝彦、「女王蜂」の中井貴恵は思いっきり微妙。
このテレビシリーズは稲垣吾郎の金田一耕助は、飄々として浮世離れしたところが好きだし、「八つ墓村」の藤原竜也、「女王蜂」の栗山千明と主要キャストが納得のいく人選なのが好ましい。
(ただ、「女王蜂」の栗山千明はひどい肌荒れだったのが残念だったけど。)

前置きが長くなりましたが・・・。
今回は三島東太郎役で成宮寛貴が出るというので、今までになく期待を持ってみたのですが、期待以上に良かった。
三島東太郎という人物の悲劇性と復讐を決意してからの悪魔的な魅力は成宮君にはハマリ役。こういう業を背負った役が本当に似合うし、表現も素晴らしい。
国仲涼子、榎木孝明、高橋真唯も良かった。
小夜子が可憐な美少女じゃないと、彼女を失った治雄の悲嘆や絶望に感情移入できないし、治雄に魅力がないと小夜子の絶望が説得力を持たないと思うので、この2人が美男美女であることは観る側が説得力を感じるうえで、かなり重要だと思うのです。
榎木孝明は、華はあるけど大味な演技をする人、というのがこれまでの印象だったので(私にとって元祖フォーティンブラス役者)、椿子爵と飯尾を演じ分けていたのを見て、すっかり見直しました。

キャストで唯一不満だったのは玉虫利彦。もっと「落魄した元二枚目」という雰囲気の人であってほしかった。
なんといっても美形の治雄・小夜子の父で、秋子夫人の実兄なわけだから、ただ悪いヤツなだけでなく、頽廃的な美みたいなものが欲しかったな、と。

明石の植木職人の家のあたりの町並み、闇市、椿子爵邸のセット等、ビジュアル的にも凝っていたし、旧岩崎邸が出てきたのも◎でした。
子爵の書斎のステンドグラスのデザインはかなり好み。
冒頭の天銀堂事件のモンタージュ写真の変遷が、実は東太郎の復讐の経過とシンクロしていて、最後の独白の伏線になっていたのも面白かった。
このあたりは映像ならではだと思う。

なお、個人的に一番ツボだったのは、利彦殺害の場面の後の、東太郎(治雄)の万感のこもった表情でした。

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2007年1月 6日 (土)

明智光秀~神に愛されなかった男

途中からだし、そんなにじっくり見たわけではないけれど、意外と良かったです。
台詞が微妙に現代語だったりとツッコミどころはあったし、光秀と秀吉が対峙する場面なんかは大胆に創作していたけど、それ以外はわりと正当な描き方で、無意味な歴史改変がなかったのでストレスがたまらなかった。
「光秀視点」というのは、実は「国盗り物語」もそうだったけど、「国盗り」が斎藤道三、織田信長、明智光秀の三人が主人公なのに対して、このドラマは光秀と秀吉を軸にしたのが新機軸といえば新機軸。
唐沢寿明の明智光秀、柳葉敏郎の羽柴秀吉とキャストも合っていた。
近藤正臣と火野正平をしのいだかっていうと、それは否だけど、脚本や演出の差もあるかもしれない。

光秀の妻役の長澤まさみが、意外や意外、好演でした。
「小りん」が良くなかったのでどうなることかと思ったけど、もともと表情の演技は良いし、やればできる子なんですね。

上川隆也の織田信長は、ここ10年の信長の中では一番良かったと思う。
ビジュアル面は文句なし。
高橋幸治には及ばないけど、役所広司の次くらいには良かった。
もうちょっと肩の力が抜けていても良かったけど、そうすると善い人になってしまうのが上川隆也の長所であり短所でもある。
ちなみに、高橋幸治の織田信長のどこがすごかったかといえば、信長の狂気と野性味と気品と優しさをすべて表現できていたこと、です。

やっぱりね、大きなウソ(創作)を生かすのなら、小さなウソは極力ついちゃダメですよ。
「功名が辻」はそこを間違えていた。

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チャーミング

話は遡りますが、年末は実家で高熱を出して寝込んでいました。
最高到達体温がなんと39度8分!!
大人のくせによくもこんなに出るもんだと我ながら呆れてしまった。
熱を出しながらも見ていたのが、フィギュアスケートの全日本選手権の女子フリーの演技。
二位の安藤美姫は一瞬このまま棄権するかと思ったけど、よくぞ演技を続けたと思う。
演技以外でやたらと感動するのは邪道だと思うのだけど、見ていて胸が熱くなりました。

優勝した浅田真央は技術は高いと思うんだけど、なぜか「美」を感じないんですよね。
一つには衣装のセンスがイマイチっていうのもあるのだけど、それ以外の理由が今のところ自分でもよくわからない。
叙情性の欠如といえばそういう気もするけど、そうかといって過度に芸術性を打ち出そうとする村主の演技は嫌いだし、無表情が悪いとは思わない。
これが音楽だったりすると、超絶技巧が出来ても叙情性がなければNGという判断基準があるけれど、競技としてのフィギュアスケートはあくまでもスポーツで、技術の重要性は認めるにやぶさかではないのに、美しさや情緒がないと物足りなさを感じてしまうのは、なぜ。

で、スケートの美しさ・優雅さという点ではやはり荒川静香に尽きる気がする。
今回はフリーで順位を落としてしまったけど、太田由希奈には荒川と同質の美しさがあると思うので、これからが楽しみです。
安藤美姫は、荒川・太田の美しさとは趣が違うのだけど、彼女ならではの魅力を感じます。
トリノの悲惨な失敗の後、たしか「シアターオンアイス」だったと思うけど、ノープレッシャーな状況下でのびのびと滑る安藤美姫を見て、やっぱりチャーミングだなーと思ったものでした。

ところで、フジテレビのスポーツ実況は、民放の中では意外とレベルが高いけど、この日の女子フリーの実況は非常に不愉快だった。
実況で「真央ちゃん」いうな。ちゃんと「浅田選手」と呼べ。

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2007年1月 5日 (金)

賀正、それから舞台「お気に召すまま」再演

明けましておめでとうございます。
コメントへのお返事はサボり気味ですが、今年もよろしくお願いいたします。

ところで、お正月早々うれしいニュース。
ロザリンドを成宮寛貴、オーランドを小栗旬で、舞台「お気に召すまま」再演。

「男の子に変装した女の子を男の子が演じた」ということから、成宮君に本格的に興味を持ったので、これは本当に見てみたかった。
7月の公演が今から楽しみです。

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