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2008年3月 4日 (火)

エリザベス~愛と陰謀の王宮

前・後編のミニシリーズとしてテレビ放映された作品で、前編はエリザベスとレスター伯、後編はエセックス伯との関係が物語の縦糸。
「エリザベス・ゴールデンエイジ」がちょっと物足りなかったので、DVDを取り寄せてみました。
ヘレン・ミレンがエリザベス一世を演じているということから以前から気になっていたのだけど、レスター伯がジェレミー・アイアンズとなれば、これはますます見逃せない。
さらにバーリー卿がパルパティーンイアン・マクダーミッドで、脇を固める俳優も渋い。

前編は映画「エリザベス」の後半と「エリザベス・ゴールデンエイジ」で描いた部分と重なるけど、このテレビ版のほうが私は好き。
描き方はあくまで正攻法なのだけど、歴史ドラマはかくあるべし、という感じで面白かった。
前編はアンジュー公との結婚話、暗殺の陰謀発覚とメアリー・スチュアート処刑、無敵艦隊撃破までが緻密に過不足なく描かれている。
この「過不足なく」というのが歴史ドラマにはかなり重要なポイントです。

ヘレン・ミレンのエリザベス一世は演技も容姿もパーフェクト。
女らしく(女くさく?)、非情で残酷な部分があって、時に感情的で、でも君主として優先すべきことは常に忘れない。
身のこなしはあくまで優雅で、ユーモアとウィットもある。
若い頃からの寵臣レスター伯の愛情と忠節が、打算だけではなく(打算もあっただろうけど)心からのものでもある、と思わせるに十分な説得力がある。
ジェレミー・アイアンズ演じるレスター伯は、最初のうちは寵愛を笠に着たような態度も見せるけれど、メアリー女王時代を生き抜いただけあって政治的判断はしっかりしているし、女王のよき助言者として枢密院からも信頼されるようになっていく。
頼りがいのある大人の男。
このレスター伯だったら女王が生涯忘れなかったというのも頷けます。
(映画「エリザベス」はそこのところがいささか疑問だったのだけど)

スコットランド女王メアリー・スチュアートは、なにしろ絶世の美女と謳われたこともあり、死ぬときも美しかったと思い込んでいたのだけど、晩年は幽閉生活による運動不足から肥満していたとのこと。
ドラマはそこのところも史実に忠実に描いていたけど、バーバラ・フリンのメアリーは肥満(メイクだろうけど)しながらも女王らしい威厳もあって、これまた良かった。

そして後編。

前編の最後で病死したのでレスター伯の出番はなく、ジェレミー・アイアンズが出てこない後編を見ようかどうしようか実はちょっと迷いました。
歴史的事件の多かった前編と違って、後編はエセックスとの愛憎模様に終始することになるし、エセックス伯の愚かとしかいいようのない行動を見るのもなあ、と。
でも、エセックス伯役のヒュー・ダンシーの好演もあって後編もなかなか面白かった。

前編の終盤でエセックス伯が登場した時は、ただただ子どもっぽくて甘いだけの容姿にしか見えず、「えー、これが後半の主役?」と思ったのだけど、話が進むにつれてどんどん顔つきが変化して魅力的な美青年になっていくじゃないですか。(最後あたりはオーランド・ブルーム似)
ヒュー・ダンシーは、撮影当時で30歳前後。
17、8歳の時の容貌は役作りによるものだったわけで、それもまたすごい。なにしろ、ほんとに少年に見えたから。
で、お調子者で愚かではあるけれど、このエセックスなら老いたエリザベスが夢中になったのも無理はないと思えた。
終盤、寵愛を失って迷走するエセックス伯を、エリザベスは罠にかけて窮地に追い込むのだけれど、それも可愛さ余って憎さ百倍、愛情の深さの裏返しなんだろうと。

エセックス伯を思い上がらせ、勘違いさせてしまったのは他ならぬエリザベスの寵愛なんですよね。
もちろん、同じような立場でありながら賢明に身を処したレスター伯の例があるわけだから、エセックス自身が愚かだったことは確かなんだけど、エリザベス一世がスポイルしたのもまた事実。
以前は、この手の愚行は見るに耐えないとしか思わなかったけど、痛ましさを感じるようになってきた自分がいたりする。

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一つ文句があるとすれば、処刑シーンがちょっとエグかったこと。
ここまでリアリティを追求しなくても。
ティム・バートンのようにあえて作り物っぽくしてくれるくらいがちょうど良いのに。
「残酷な時代だったのだ」ということはわかりすぎるくらい伝わったけども。

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