真木栗ノ穴
渋谷ユーロスペース1で、今とても気になっている西島秀俊主演の真木栗ノ穴を観てきました。
地元にシネコンができて以来「電車に乗って映画を見に行く」というのが億劫になっていたのですが、私が普段と違う行動をとる時というのは、だいたい俳優目当てとかそういう動機。
でも、それによって思わぬ収穫があるもので、今回もそうだった。
タイトルが「真木栗ノ穴」だし、あらすじからもマニアックな映画なのかと思っていたら、キャスト、映像、背景、小道具、音楽が好みで、「面白うてやがて哀しき」な作品だった。
ひょんなきっかけで官能小説を依頼された売れない作家がボロアパートの壁に穴を発見。折りしも隣室に清楚な美女が越してきて、真木栗は穴から覗き見た彼女のことを小説に書き始める・・・という江戸川乱歩を思わせる設定なのだけど、最後は乱歩というよりは「雨月物語」のような情感と余韻がありました。
その情感と余韻に主人公を演じる西島秀俊とヒロインの粟田麗がぴったり。
2人で花火を見ながら話をするツーショットはほんとにきれい。
映画全体に独特の空気感が漂っていて、アパートと街を結ぶトンネル(鎌倉の切通し)が幻想的で、現し身の世界と幻の世界をつないでいるよう。
主人公の無精ひげ、着ているシャツ、ヒロインの柔らかな素材のワンピース、白い日傘、トマトとふくらはぎetc.の質感も好き。
ピアノを主とした音楽も印象的で、ピアノの音色によってコミカルだった前半から哀感の漂う後半へと導かれた部分もあったと思う。
妖異譚を描いた映像作品って、とかくエログロに走ったり、描写が行き過ぎるのが好きじゃないのだけど、この映画はそのあたりが抑制が効いていて、そこも好き。
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