やっぱり急がばまわれ
浅田選手の3Aがやたらと取り沙汰されるのは、例によってマスゴミが勝手に騒いでいるのかと思ったら、会見で選手が自ら口にしていたのでちょっと意外だった。
こだわっていたのは本人だったのか。
自分を見失って大技に頼るという点では4年前の安藤美姫とかぶるけど、選手の矜持というのもあるんだろうから、大技を持っている選手が大舞台で跳びたいと思うのはわからないでもない。
でも今はまだ五輪代表の選考段階。
ロシア杯は安全策をとっても2位は確保できただろうし、フランス杯の2位という結果と合わせれば、高確率でGPFへの出場権を手中にすることができたはず、というのが一般的な見方だと思う。
練習では絶好調だったというならともかく、練習から調子が上がらない状態で3A3回という賭けをする無意味さは素人にもわかる。
3A以外のジャンプも崩れていたし、安全策をとらなかったのではなく「とれなかった」という解釈も成り立つけど、そのあたりのことは報道されないんだな。
他の選手に対しては歯切れの良い荒川静香の解説が、彼女の演技の時だけ奥歯に物が挟まったみたいな言い方になったりと、みんな腫れ物に触っているみたい。
それと、トリノ前の報道の過熱ぶりと、その後に安藤が受けたバッシングを目のあたりにしたら「同じ轍は踏むまい」と考えるのが当然だと思うのに、周辺も本人も、これまで一切そういうことを配慮した様子が見られないのも不可解。
むしろ、CM、テレビ出演、必要性のない会見、曲の公開録音etc.と、積極的にマスゴミに話題を提供して騒ぎを煽ってきたようにさえ見える。
失敗した時の反動をまるで考えていないようで、「4回転とトリプルアクセルは違うからー」とでも思っているんだとしたら愚かなことである。
それから、コーチ変更が是か非かはともかくとして、今回の結果をタラソワのせいにするのは筋が違う。
トリノ五輪後、荒川静香がコーチをタラソワからモロゾフに変更した経緯と理由は繰り返し報じられていたから、タラソワに師事することのデメリットは周知の事実であったはず。
それをカバーすべく手を打たなかったのは選手側の失策。
だいたい、誰をコーチにするか以前に、他の有力選手はコーチがつきっきりで仕上げてきているのに、母親がコーチ代わりの自主練習という体制は、あまりにもお粗末。
スケートファン(一部熱狂的な人たちは除く)が「まず自身が納得できる演技をしてほしい」と、真摯な助言や苦言を掲示板やブログに載せているのを見るけれど、はたして当の本人に「納得できる演技」という概念があるのか疑問。
世界選手権で優勝した後の態度などを見ると、演技内容よりも結果重視みたいだし。
トリプルアクセルに頑なにこだわるのも、負けず嫌いな性格というよりも、「多角的に物事を見る」、「柔軟に思考する」といった訓練ができていないせいに思える。
これまでの4年間の経緯を見ていると、目の前の試合を勝つためにベストメンバーで臨み、バックアップの育成を怠ったジーコに重なる。
個人的な好みはともかく、ポテンシャルの高さは疑うべくもないから、専任のコーチについて他の選手と同様の練習体制をとることができれば復活はあると思う。
ただ、それには本人と保護者の意識が一番のネックになるだろうし、そこを解決できないから現状があるんだろうけど。
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追記:
帰国会見の「百発百中」発言に驚き、それがロシア杯でプルシェンコの演技に刺激を受けての言葉と知って、あまりの短絡思考に唖然とした。
しかも、サポート体制には変更なしとのこと。
いえ、プルシェンコのジャンプを見て「私も頑張ろう」と思うのは良いと思うんですよ。
ただ、そういう場合、普通は「頑張るために何が必要か」、「自分に足りないものは何か」等を真剣に考えるものだけど、そこのところがすっぽり抜けて、練習すればできると思っているらしいことに愕然としてしまう。
そうかといって、国別選手権からここまでの流れを見るに、マスゴミに向けては強気の発言をしておいて、密かに対策を講じる、というような芸当はできないし、しなさそう。
FSの「鐘」はピアノバージョンのほうが良いと思う。
もともとピアノ曲なのだし、ピアノのほうが重苦しさがなく観客も曲をとらえやすい。
公開録音などしてしまったから変えるに変えられないんだろうけど、なぜ、オーケストラにしてしまったんだろう。
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