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2009年11月 3日 (火)

善悪二元論で歴史を描くことの愚

しばらく前から視聴をやめているので、「天地人」は私にとって過去の話なのだけど、こちらのブログに掲載されていた天地人トークショーにおける内藤愼介プロデューサーの発言には、憤りを覚えると共に大河ドラマの将来に危惧を感じた。
気になったのはこの発言。

内藤「いろいろと描こうとすると、伊達政宗のときも最上義光を描いて、あんな原田芳雄がやってしまったことによって、最上の殿様があんなになってしまったじゃないか。
二度とああいうやり方をするな!と言われてしまった。上杉・直江兼続と向き合うとなると
同じ扱いをしなきゃいけないかな。それで、みなさんの熱い想いを聞きますと・・・
おかしな描き方をすると、また怒られると思って怖くて台本から外した。」


トークショーだから口がすべったにしても「あんな原田芳雄」とは失礼な言い草だし、「独眼竜政宗」の最上義光に批判があったという話は初耳です。
「戦乱の世を生き抜くための知略を持った喰えない人物で、妹と娘への愛情は厚い人」という印象だったし、批判を受けるような描き方とはまったく感じなかったし、あれで気分を害したのは一部の熱狂的ファンだけじゃないんだろうか。
これに限らず熱狂的ファンなんてみんな極端なもので、そういう声だけ大きい極端な意見を気にしていたら実在の人物が登場するドラマなど作れないだろう。
そして、「天地人」も上杉・直江と向き合うには同じ扱いで描かなくてならない・・・と言っているところをみると、このプロデューサーは「主人公=正義、敵対する人=悪者」と認識しているもよう。
そういう単純な認識しか持てない時点で、最上云々を抜きにしても、この内藤という人は根本的にドラマのプロデュースには向いてないと思う。
NHKは人材不足なのか?

追記:
「『天地人』のスタッフは、過去の名作といわれる大河ドラマを見て反省すべし」と思っていたけど、余人は知らず、プロデューサーは見ても無駄になりそう。
昔の大河ドラマの面白さがわからないから、「天地人」をあんなにしてしまったんだろうと深く納得。
こんなことで納得するのは虚しいけれど。


原田芳雄の最上義光で怒る人がいるのなら、去年の女々しい小松帯刀や「新選組!」のカマキリ将軍など、激怒した子孫や関係者がいそうなものだけど、抗議があったという話は寡聞にして聞かない(小松帯刀に関しては抗議があってもいいと思うけど)。
最上義光のファンはよほど熱狂的なんでしょーか。

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