五輪フィギュア男子シングル雑感
祝・高橋大輔選手、日本男子フィギュア初のメダル。
祝・小塚崇彦選手、四回転成功と8位入賞。
織田信成選手もアクシデントにもかかわらず7位入賞は立派。本人は悔しいだろうけど。
以下敬称略。
高橋大輔は、冒頭の転倒がその後の演技に響くことなく、素晴らしい演技。
今までの演技よりも大道芸人の世界の雰囲気が鮮やかに伝わってきたし、新しい衣装も効果的だった。
今までの定番のスタイル+チェックのスカーフという衣装では、いまいちイメージがつかめなかったので、やっぱり衣装は重要。
実は、高橋とランビエールのメダルを天秤にかけた瞬間もありましたが、4位のランビエールは、ジャンプが不調で動きがかたかったけれど、音楽と調和した表現はいつもながら素晴らしかった。
フリーの「椿姫」は、欧州選手権よりも溌剌さは欠けていたのが残念だったけど、プログラムの完成度はあがっていた。
エキシビションを見られるのが楽しみ。
ジョニー・ウィアーは独自の世界を滑りきる心意気が好き。
パトリック・チャンは好きなタイプではないけど、スケーティングが滑らかで高得点なのは頷ける。
優勝候補だったブライアン・ジュベール、SP、フリーともに好きなプログラムだったジェレミー・アボットが不調だったのは非常に残念だった。
銀メダルだったプルシェンコの今回のフリーのプログラムでは、ジャンプが不調では点が伸びないのは当然だし、ノーミスだったライサチェックの得点には異存はなく、金メダルは一番得点が高い選手が獲得するもの。
ただ、この結果をなんとなくつまらなく感じてしまうのは、技術でも表現でもとにかく何かすごいものを見せてくれた選手に金メダルを獲って欲しいという心理があること、それから、ライサチェックの今季のプログラムがいまいち好きじゃないから、というのがあると思う。
ライサチェックの「シエラザード」は「柔軟性強化ギブス」みたいな選曲だと思っていたので、それで金メダルというのは複雑。
物語性のある曲を使って演技や振付に物語性を感じられないのは不満が残るし、ライサチェックの直線的な動きとこの曲はしっくりこないな、と。
去年の「ラプソディ・イン・ブルー」だったら、ライサチェックの「かたい動き」を活かしたプログラムだったので、もっと心から賞賛できたかもしれないけど。
4回転論争については、採点の傾向がどうなるかは気になるところだけれど、結局は、個々の選手が何を武器として試合に臨むかということ。
見る側からすれば、4回転を成功させれば、もちろんワクワクするけれど、見たいのはジャンプだけじゃないし。
プルシェンコの危惧はわかるけど、アスリートの高難度の技に挑戦する意欲は、そう簡単には止まらないと思う。
跳べる選手・跳びたい選手はこの先も跳び続けるし、跳べない選手は跳ばないだろうという、それだけ。
※ただし、試合でも練習でも成功率の低い技を、ここ一番で跳んで一発逆転を狙うのは挑戦ではなく無謀。
プルシェンコが巻き起こした論争は、無謀を推奨するものではないと思う。
実家の母と電話で話したら、リアルタイムでテレビを見ていたそうで、日本男子は眼中にない様子。
「スイスの選手と、フランスの駄目だったブライアンなんとかを応援していた」との言葉に、わが母ながら、なんとわかりやすいイケ面好きなんでしょうとおかしくなった。
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