おけいはん
このところ着てないけれど、着物好きとしては気になるニュース。
京阪電鉄は「スタイリストが浴衣メーカーに『逆にしても間違いではない』と確認を取っていた」と話している。
呉服量販店などは売らんかなで伝統を壊しにかかっているようにさえ思えるし、メーカーだからといって正しい知識を持っているとは限らず、どういう問い合わせ方をしたかによっても答えは変わる。
文様が青海波であることと祇園祭のポスターに使用することを伝えたうえで聞くのと、単純に「帯を上下逆にしめても大丈夫ですか」と聞くのとでは反応は違ってくるから。
それにしても、こういう相談を受けた時に「正しい」と言い切れないのなら、「やめておいたほうがいいですよ」とアドバイスすべきなんじゃないのかな。
どうも基準が曖昧な場合にゆるい基準を示す傾向があるけど、それってなんだか無責任。
帯の上下のことはおいても、「年齢設定が10代で元気の良さをアピールしたい」というわりに浴衣の柄が10代の子が選びそうにない色柄だし、青海波の帯も同じく。
無地とか縞とか無難なのがいくらでもあるし、帯締めと帯留めも10代らしくないセンス。
10代云々という以前に、比較的こまかい柄の浴衣に細かい柄の帯をあわせるセンスが野暮ったい、ともいえるけど。
どちらかというと「親が選んでくれた浴衣を着ている素直な娘さん」に見えて、スタイリストの言う「元気の良さのアピール」というコンセプトと選んだ浴衣が全然一致していないものだから、ますます言い訳に思えてしまう。
-補足-
浴衣のブラントと思しきサイトを見たら、そちらの写真ではもっとヴィヴィッドな色で、たしかに元気の良い10代らしい色とデザイン。
ポスターではわからなかったけど。
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先だって、桜や梅が入った古典文様の浴衣を「オールシーズンで着られるからよい」と書いているブログを見て目が点になったけど、振袖ならともかく、浴衣ってオールシーズン着るものじゃないんだが。
まさか販売員がそんなことを売り文句にしていないだろうね、と思ってしまった。
着やすさ・動きやすさでいったら残念ながら洋服のほうが断然上。
それでも着物を着たいと思うのは日本の伝統的な衣服だからというのも大きな理由だと思う。
そこから季節感とか伝統美をなくしたら、浴衣も着物も着る意味を失うんじゃないかと思うし、それは着物を創る人、売る人たちの首を絞めることになる。
浴衣は着物の入門編で、だからこそちゃんとしたものを作って勧めるべきだと思う。
大量生産で安く売るのも悪くはないけど、せめて柄の季節感くらいはちゃんとしようよ。
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