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2010年8月 7日 (土)

乱紋

絶版になっていた永井路子の「乱紋」が文春文庫から新装版で復活。
浅井三姉妹の末娘「おごう」を描いた歴史小説です。
永井路子の小説の常として文体や台詞には不満があるけれど、歴史の解釈とキャラクター設定は好き。
この小説の印象が強かったために「不器量で自己主張がなくて何を考えているかわからないけど、何故か夫たちには大切にされる女性」というおごうのイメージが定着し、「美人で気が強くてヒステリー」という従来のイメージとされるおごうを見ると違和感を覚えるようになってしまったほど。
この「不美人・おっとり」説にどうして影響されたかといえば、一番最初に目にした説というのもあるけれど、淀殿の妹にして徳川二代将軍の御台所という立場にいる人でありながら「美人」と明記された文献がないらしいし、同性からみてパッとしない地味な女性が実は男を夢中にさせる魔性の女というのはアガサ・クリスティも何度か描いていたりと説得力を感じるからである。

浅井三姉妹を描く大河ドラマ「江~姫たちの戦国」のキャストには魅力を感じつつ、小松帯刀をナヨ五郎に、将軍家定をトンデモ設定にしてしまったショックはいまだ尾を引いていて、配役は良いのに脚本にまったく期待できないことがとても悲しい。
「篤姫」は脚本の酷さ+主演女優の演技にも不満があったから、上野樹里ならなんとかなるんじゃないかと期待したいところだけど、主役がどんなに適役で好演しても脚本が迷走するとトンデモ作品になるのだということは、「最後の将軍」という立派な原作がありながら、歴史とは関係のない架空の話に時間をさき、原作の面白い場面を省略した「徳川慶喜」で思い知らされている。
まして「江」は原作という歯止めもないし。
今からでも脚本家交代してくれないかしら。


ところで、再来年の大河ドラマが「平清盛」とのこと。
「祇園精舎・・・」ではなく「遊びをせむとや生まれけむ、戯れせむとや生まれけん」をテーマにしたいという脚本家のコメントに「また奇を衒うのか?」と一抹の不安を感じたのだけれど、「梁塵秘抄」を引き合いに出すということは資料をしっかり読み込んでいるということだし、「名探偵赤冨士鷹」を書いた人なら時代の雰囲気を反映させてくれるだろう、と思い直した。
ただ、今様をテーマに持ってくるんだったら、まんま後白河院を主人公にしても面白いと思うけど。

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