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2011年3月 5日 (土)

鑑賞力が試される

「英国王のスピーチ」がアカデミー賞を受賞したことで、通常は見に行かないであろう人たちも見に行って、いろんなことを言うようになってきた。
もちろん、できるだけ多くの人の目に触れることが映画にとっての幸せなんだと思うけど、好き嫌いはともかくとして、あまりに見当違いな感想を見るとちょっとなーと思う

ストーリーはシンプルだし、思わせぶりな暗喩や描写もなく、第二次大戦前夜の欧州の情勢とか、英国王室について一般的な知識があれば理解できる。
地味だけど、決して鑑賞するのにハードルが高い映画ではない・・・と思っていたけど、的外れな感想や妙なツッコミを見るに、意外と鑑賞力を試される映画なのかもしれないと思った。
それと一般常識と。

で、思わず目が点になったものをいくつか。

【戦争の背景の描き方が一方的】
よほど特殊な見解の持ち主でもない限り、ナチスドイツの侵略に対抗することを正義として描くのは暗黙の了解というか常識の範疇だし、だから映画もその点については詳細な説明をしなかったのだと思うんですけどね。

【開戦を煽るスピーチに拍手喝采はおかしい】
現在進行形ならいざしらず、過去に起った戦争について、当時の時代背景や状況を鑑みずに反戦・厭戦の価値観を振りかざすべきではないし、反戦・厭戦が絶対正義だと思っているのも思考停止もいいところ。

こういう輩がいるから、下克上の時代に反戦を主張する変な大河ドラマが横行するのかと思うと、非常に腹立たしい。

【喋る時の音が不愉快】
吃音で悩んでいる人が主人公なんだけど・・・。
一体なんの映画を見に行ったのか不思議である。


「一般的な知識があれば・・・」とは言うものの、知識がなくても、先入観を持たずに「知らなかったけど、そうだったんだー」と思って見れば充分楽しめる映画だと思う。
映画から得られる情報量は多いし、多少の脚色はあっても、鵜呑みにしたとしても支障がでる内容じゃないし。
でも、見当はずれなツッコミや批判をする人というのは、無知なだけじゃなく、自分の狭量な常識だけで判断するから、本来はツッコミどころではないことを得意げにツッコんだりする。
誰しも最初は知らない状態からスタートするわけだから、物を知らないこと自体は無碍には責められないけど、知ろうともせずに自分の先入観を振りかざすのは困ったもんだと思う。

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