銀の匙 Silver Spoon 1巻
百姓貴族の農業高校ネタが面白かったし、連載開始時の電車の中吊りの絵柄も好みだったので、コミックが出るのを待ちかねていた。
主人公も可愛いけど、馬がめちゃめちゃ可愛い。しかもリアル。
絵がうまくても馬をリアルにかつ可愛く描けるとは限らなくて、リアルな人の絵は可愛さに欠け、可愛い絵はリアルさに欠けるのが常なので、荒川弘だから絵がうまいのはわかっていたけど、こんなにリアルかつ可愛い馬の絵を見ることができるとは。
ちなみに、これまでに漫画で描かれた馬の絵で好きなのは小道迷子とよしだみほだけど、どちらもリアルではない。
百姓貴族を読んだ時は豚の生姜焼きを食べたくなったけど、今度は卵かけご飯と豚丼を食べたくなった。
獣医学部を舞台にした「動物のお医者さん」も好きだったけど、「銀の匙」は農業高校ならではのエピソードで、また一味違った面白さ。
八軒君が家から離れようと思った理由とか家庭環境は未だ出てきていないけど、添加物の無いスモークチキンを美味しいと感じる味覚の持ち主だから、食事に気を使う家庭なのだろうか、などと考えつつ、今は2巻が出るのが待ち遠しい。
食の不安が取り沙汰されている今の時期に、農業に取り組む少年少女の物語は、ちょっとホッとする。
・・・なんてことを考えずとも楽しんで読めるのだけど。
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登場人物のキャラクターで思い出したのが吉田秋生の楽園シリーズ。
頭が良くて、もとはガリ勉(もしかして死語だろうか)でドロップアウト気味の八軒君、明るくてしっかり者の御影さんのキャラクターが、楽園の猿渡君と黄菜子さんに似ているなーと。
もちろん、東京と北海道、少女漫画と少年漫画と、舞台や背景は大きく違うし、登場人物にしても、八軒君を取り巻くエゾノーの生徒たちは高校進学の段階で目的意識をはっきり持っていて、受験戦争のアンチテーゼみたいな存在だった恭一君や操ちゃんとは違うけど。
30年前は「がんばらなくてもいいんだよ」と誰かが言う必要があったし、今は「がんばるのは恥ずかしいことじゃないんだよ」というメッセージがいいのかもしれない。
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