ローマ人の物語 読了
「ローマ人の物語」を読み終わったので、感想というほどでもないけど、ちょっと覚書。
興隆期から繁栄していた時代まではどこを読んでもわくわくしたけど、衰亡期に入るとちょっとほろにが。
興隆期で印象的だったのはティベリウスとクラウディウス。
ティベリウスの項を読んでから、政治家については「何を言ったか」よりも「何をしたか」で見るようになったかもしれない。
まあ、「何を言ったか」が重要なこともありますが。
クラウディウスはアグリッピナの尻に敷かれた挙句に殺された人という認識だったけど、ちゃんと仕事をした人だったんだなと。
そして衰亡期に入ってから印象的だったのがユリアヌスとスティリコ。
誰よりもローマ人らしい人でありながら、生粋のローマ人でなかったがために死を選ぶことになったスティリコが切ない。
歯切れよくバッサバッサと斬りまくる塩野七生も好きだけど、報われない有能な人物を描く時に見せる哀惜の念も好きです。
カリグラやネロにも意外と公平で優しかったし。
教会や大聖堂巡りはヨーロッパ旅行の楽しみの一つだけど、キリスト教を国教としたことがローマを衰退させたと思うと複雑。
そして最終巻、古代ローマの滅亡をダメ押ししたのが、蛮族ではなくて東ローマ帝国だったのは意外というか皮肉というか。
「ローマ亡き後の地中海世界」はいつ文庫になるのだろうか。
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私が読み始めたのは2002年の文庫版刊行からで、それだって足かけ9年だけど、ハードカバーの第一巻が出てからは19年にもなるのですね。
「ローマは一日にして成らず」から「勝者の混迷」までを猛スピードで読破した友人に「・・・次に文庫が出るの再来年だよ?」と言ったら、愕然としていたのも今は懐かしい思い出。
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