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2018年4月 1日 (日)

戻ってくるために離れることが必要

すこし前になりますが、日曜日の未来モンスターと情熱大陸の内容がフィギュアスケート関連で、これがどちらも面白かった。

「情熱大陸」の濱田美栄コーチの「努力は必ず報われるけど、正しい努力でないと報われない」とか「最初から自己主張する子は伸びない」というのは頷ける言葉。
ずっと自分に従えではないのですね。でも、最初は素直に聞けよと。

本田真凜の遠征先に帯同した濱田コーチがなにかと宮原知子の話題を出していて、本田真凜が複雑そうな表情をしていて、他の選手の話題ばかりで面白くない気持ちもわからないではないけど、選手のほうも今一つコーチに心を開いていないように見えて、ちょっとどっちもどっちな印象。
宇野と樋口コーチのような二人三脚でも、羽生とオーサーのように自分の意見を言い合う関係でもない。
宮原は無口ながらも、コーチに対して打ち解けている感じが見えたけど、本田真凜とコーチには距離が感じられた。

その本田真凜は今季から米国拠点にするとのこと。
彼女の場合これといった大きな欠点があるわけではなく、芸術家肌という濱田コーチの評には反して、彼女に欠けているのは芸術的なこだわりだと思う。
ストーリーを知らないで(知ろうとしないで)ロミオとジュリエットを演じようとするのは芸術家でもなんでもない。
で、それって、演技を深めるために「SAYURI」の原書を読む宮原とか、台本や脚本を読んで演出家の指示を汲んで演技することを求められる妹から学べることだったりする。

宮原は「こつこつ努力する」というイメージで語られるけど、宮原のほうがずっと「芸術家」だと思う。
町田樹の求道心に通じるというか。
大体、芸術家には根気も必要で、気まぐれだったり気分やばかりだったら作品を完成できないし。
それと、練習量が多いこと自体ではなく、課題を見出せることが宮原の凄さだと思う。

でもまあ、外国へ行くというのは心に期するところがあるのだろうし、離れたところからみることで身近にいた人の優れた点を認識できるようになるかもしれない。


そして「未来モンスター」。
住吉りをんは荒川静香のショーで見たことのある選手。
上品で華やかなくるみ割り人形が好印象だった。
怪我で調子を崩しているみたいだけど、乗り切って欲しい。
メモ帳に自己分析を書いていて、同じコーチ門下の樋口新葉もツイッターとか言葉で自分を鼓舞するタイプだけど、そういう指導方針なのかな。
中高生くらいの子たちに自分の気持ちや状況を言語化する習慣をつけさせるのは教育的見地からもとても良いことだと思う。
ただ、試合前のメンタル強化には特効薬とはいえないかもしれないけど。

坂本花織のコーチが演技前の坂本を笑わることで緊張をほぐしていて、良い方法だと思う。
五輪団体戦は笑うところまで気持ちがほぐれなかったから、常にうまくいくわけではないけれど。

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