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2018年5月 6日 (日)

皇帝フリードリッヒ二世の生涯

文庫化まで待とうと思っていたけれど、まだ十字軍も控えているし、このままではいつ読めるかわからない。
ということで待ちきれずにKindle版を購入。
印刷や製本が要らないのだから、もう少し安くしてくれるとうれしいけど、内容にはたいへん満足しています。
もうね、塩野七生のフリードリッヒ愛が溢れている。
十字軍は文庫化を待つつもりだけど、より一層楽しみになってきた。

英国王室史話を読んでから自分の中でリチャード1世の評価がやや低くなっていたのだけど、塩野七生はわりと好きなのだな、とか、フランスのルイ9世に辛口なのが面白い。

今まで読んだ中世史で何度も名前を見たフリードリッヒ2世だけれど、こうして評伝の形で読むと歴史のつながりがより頭に入ってくる。
法王庁や既得権を守ろうとする人たちとの攻防、数ヶ国語に通じ、大学を創設し、ローマ数字に代えてアラビア数字を導入、数学者を手厚く保護。
中世と言う時代でありながら手紙を駆使して情報戦。
そして無血のエルサレム奪回にわくわく。
無血であるが故に評判が悪かったなんて、本当に時代によって価値観が違うものですね。

ユリウス・カエサルには彫刻とコインがあるし、チェーザレ・ボルジアにも肖像画が残っているけれど、こんなに合理的で近代的な人でありながら、フリードリッヒ2世の写実的な肖像画は残っていないところが中世の人だったのねと思う。

フリードリッヒ2世の死からホーエンシュタウフェン朝の滅亡までのくだりに一抹の寂しさ。
ちょっと武田家滅亡を連想した。
フリードリッヒ2世は信玄というよりは穏やかな信長っていう感じなのだけど。
16歳で斬首されたコンラディン(フリードリッヒの孫)の最期が哀れ。
300年後のベアトリーチェ・チェンチの斬首といい、聖職者は時として俗人よりもずっと血も涙も無い。


宮殿のあったフォッジアには行っていないけれど、パレルモとモンレアーレには15年くらい前に行っている。
本で見たアラブ・ノルマン様式の建物に魅かれて。
まだデジカメではなかったので残っている写真がいまいちなのが残念ですが。
モンレアーレの大聖堂で私の回廊愛が芽生えたと言っても過言ではない。

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