小説 イタリア・ルネサンス4 再び、ヴェネツィア
塩野七生の最新作、「小説 イタリア・ルネサンス4 再び、ヴェネツィア」を読み終わってしまった・・・。
いきなり4なのは1から3の「緋色のヴェネツィア」「銀色のフィレンツェ」「黄金のローマ」は過去作だからです。
4の「再び、ヴェネツィア」は主人公のマルコ・ダンドロがヴェネツィアの要職に復帰してからの物語。
レパントの海戦までが背景となっていて、ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ティントレットが出てくるのも楽しい。
私は「立派な王国が色あせていくのは二流の共和国が崩壊する時よりもずっと物哀しい」という村上春樹の「駄目になった王国」に出てくる一節を引用することがあるのだけど、レパントの海戦以降のヴェネツィアには一流の共和国の衰退の哀しさを感じる。
合理的なシステムもいつか綻んでしまうのだなと。
それはそれは楽しんで、噛みしめながら読んだのだけど、ちょっと残念だったのが何度か出てきた「取り入っての話」という言葉。
シチュエーションからも文脈からも、これは「折り入っての話」でしょ。
いろいろなメディアで日本語力の低下が見られる昨今だけど、新潮社の校閲がこれを見逃したということに非常に驚いてします。
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