カテゴリー「ドラマ(外国)」の26件の記事

2022年3月 7日 (月)

ナイル殺人事件

アガサ・クリスティの映画やドラマは原作に忠実なほうが好きだし、ケネス・プラナーが映画化するとポリコレ的キャストと改変必至だし、でもケネス・プラナーがどう演出するのかは見たい。。。
というわけで鑑賞してきました。

リネットの管財人、オッターボーン母娘の配役が例によってポリコレだったし、冒頭のポワロの過去の話に費やした時間でリネット・ジャクリーン・サイモンの関係を変なダンス抜きで描けたと思う。
原作と旧作では良家のお嬢さんのリネットとジャクリーンがあのセクシーダンスはちょっとね。
それと、塹壕は「魔笛」にも出てきたけど、ケネス・プラナーは第一次大戦の塹壕に思い入れがあるのだろうか。
リネットの宝石がいかにもイミテーションっぽかったのも残念な点。

ともあれ、旅行気分を味わえたし、衣装その他は豪華だし、登場人物が整理されていてテンポはいいので退屈はしなかった。
原作未読の人は楽しめるんじゃないだろうか。
リネットが一目ぼれ(親友から奪うことに躊躇しないほどに)するという点では、これまで見た中では今作のアーミー・ハマーのサイモン・ドイルが一番説得力があるかもしれない。
原作通りの「母性本能をくすぐる英国の田舎の没落した旧家の息子」という設定込みだとスーシェ版のJ.J・フィールド一択なんだけど。

個人的にはスーシェ版の「ナイルに死す」が好きなので、それを凌ぐところまではいかなかったという感想。
スーシェ版のエンディングは本当に秀逸。
ダンスする恋人たちのバックに流れるのは「Love is the sweetest thing」という曲で、曲名からして愛ゆえに犯罪に加担したジャクリーンに相応しい選曲でした。

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そういえば1978年版をちゃんと見ていなかったので、Amazonプライムで見てみた。
テレビ放映でちらっと見た時はミア・ファローの印象しかなかったけど、ロケ地・衣装・音楽が素晴らしい。
特にミア・ファローの衣装は全部素敵。
ファーガスンとティム・アラートンの統合はわりと腑に落ちる。
スーシェ版の不満はロザリーとティムの扱いだったので。
映像技術の進化で押しなべて映像は現代のほうが良く感じるけど、新旧ナイル殺人事件については、旧作のほうが豪華に感じてしまった。

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2021年12月12日 (日)

土俵が違うものを比較する愚

https://news.yahoo.co.jp/articles/6f2ec1ae693988561dc0e8a7d1bf818126399932
イカゲームに見る「日本のテレビドラマがダメな理由」 問題はカネと時間ではない

この手の韓流ドラマ推しの記事を見るたびにモヤモヤする。
そもそもカイジに関心がなく、同音異義語の区別が出来ない言語を使用している国のドラマを見るつもりはないけど、見た人が言う面白さとか出来の良さまでは否定しない。
でも、それをもって日本のテレビドラマを一括りにして比較するのは雑だと思う。

私の母は韓流ドラマが好きで、今はほとんど韓流しか見ない状態に陥っている。
帰省するたびに話題を持ち出し、私に無理やり見せようとさえする。
母が見ているのはBSで流しているものがほとんどだけど、その手の韓流ドラマのクオリティはどう見ても著しく低い。
上記の記事のコメント欄に、日本のドラマについて「カメラを固定して役者がその中だけで演技」云々と批判しているのを見かけたけど、母が見ている韓流ドラマはまさしくそうなのだが。
単調なカメラアングル・映像がいまいち、加えてオーバーな演技。
韓流ドラマもNetflixとそれ以外ではクオリティはかなり違うのではないか。

私はAXNミステリーの海外ドラマをよく見ているけど、欧米のドラマもクオリティは多種多様。
脚本がよく練られた高質な作品もあれば、日本の二時間サスペンスみたいなものまで玉石混交で、その中で取捨選択して視聴している。
(海外旅行中にフランスでチラ見したソープオペラはとんでもなく低俗だったから、日本に入ってくる時点にもフィルターはかかっているはず)
日本だってWOWOWのドラマなどは配役・脚本・演出と見ごたえがあるものが多いし、NHKも時々意欲的なドラマを放送している。(「岸辺露伴は動かない」とか、最近なら「オリバーな犬」とか)

ドラマをいちいち比較する必要はないけど、もしも比較するなら、ちゃんとした比較をしましょうよ、と思う。

ところで韓流好きのウチの母は以前は「相棒」を好んで見ていたけど、今はめっきり見なくなって韓流ばかりになってしまった。
で、母の場合、それと時期を同じくして思考力や記憶力の減退が見られるようになり、うつ病になった。
うつ病との因果関係は不明だけど、少なくとも依存症であることは確か。
そういう人は少なくない状況で、NHKと民放が韓流ドラマを流し続けることは非常に苦々しい。

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2021年7月29日 (木)

ポワロの怒り

AXNミステリーでスーシェ版「オリエント急行の殺人」の終盤を見て、ポワロが犯人たちに激昂する場面がいつになく胸に刺さった。
このところ過剰な社会的制裁に思う所があったもので。

「あなたがたは何様なのだ!デタラメの人民裁判だ。人々が勝手に隣人を裁いていたら、暗黒の中世と変わらない!」

この台詞は原作にはなく、ドラマのオリジナル。
このドラマとプラナー版の映画は私刑に対するポワロの怒りを強く出している。
それは原作にはないものだけど、今の時代には必要な要素だと思う。

クリスティの原作でポワロの倫理観というか正義が一番強く描かれているのは「愛国殺人」で、「カーテン」とつながるものを感じるのだけど、スーシェ版のドラマは「オリエント急行の殺人」と「カーテン」に関連性を感じるのです。

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2021年5月30日 (日)

AXNミステリー(最近のお気に入り)

新作の中のお気に入りドラマ

アート・オブ・クライム 美術犯罪捜査班
美術音痴と変わり者の美術史家が事件を解決する話
美術に関する蘊蓄が楽しい。

アストリッドとラファエル 文書係の事件録
自閉症で極度に論理的で几帳面な文書係アストリッドとアクティブな刑事ラファエルが主人公。
アストリッドの描写と演技がとても素晴らしい。
立ち方・姿勢・歩き方・ちょっとした仕草に至るまで緻密な演技。
ラファエルとの交流で少しずつ変わるんだけど、日本のドラマだとそういう場合、現実に在りえないくらいに変化させてしまうけど、そこのあたりが抑制が効いていているところも好き。

紳士探偵L 魔都・上海の事件簿
1930年代の上海が舞台の本格ミステリー。
上海版シャーロックという趣で、音楽はかなりシャーロックを意識している。
衣装も豪華なセットも好みです。
紳士探偵と若い女性刑事のキャラクターが良いし、好みのタイプの美男美女でルックスも目の保養。
L役は玉木宏似で、玉木宏よりも好み。

韓流俳優もKポップはビジュアルも全く好みじゃない(むしろ嫌い)けど、中国人俳優は時々好みの人がいる。
香港のレオン・カーフェイは結構夢中になって、映画祭のゲストで来日した時は観に行ったくらいだったし。

フランスのミステリーは女性主人公にイマジナリーフレンドがいる設定が多い気がする。
アート・オブ・クライムは男性刑事にもいましたが。


アガサ・クリスティ特集の中で韓流ドラマの「復讐の女神」のCMが流れていたけど、全然「復讐の女神」じゃないのだが。
まあ、本家の英国でもこのところトンデモな展開のクリスティドラマを制作しているけど、外国翻案ものは登場人物の名前も変わるから、設定を変えてしまった場合はタイトルを使うのは不適切だと思う。
その点、三谷幸喜の「死との約束」は、今度も原作に忠実だった。
面白さでいえば前作の「黒井戸殺し」のほうが面白かったけど、「死との約束」は原作読了後のモヤモヤ感まで一緒。
そういえばデヴィッド・スーシェ版「死との約束」は「変えすぎて原作が思い出せない」系のドラマでした。

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2020年6月26日 (金)

ヴェラ~信念の女警部

主任警部モース、警部フロスト、ルイス警部、ブラウン神父、ミステリーinパラダイスと英国ミステリーは秀作が多いけど、最近の一番のお気に入りが「ヴェラ~信念の女警部」。

独身で外見は普通のおばさんのヴェラ・スタンホープ警部が主人公。
女性的な繊細さもないわけじゃないけど、中身はほとんどワーカーホリックのおじさん。
仕事には容赦がないけど部下からの飲みの誘いは「上司と飲みたい人なんているの?」と断る孤高の人。
この手のドラマにありがちな上層部からの圧力みたいな要素もなく、ひたすら地道に捜査をして真相に迫るところが好き。
ドラマに出てくる風景は荒涼として、でも美しい。

相棒の若い刑事との関係性がなんだかよいのです。
リスペクトと程よい緊張感があって。
若い相棒がこき使われつつも家庭を大事にしているところなど、ダルジール警視とパスコーの関係に似ているかも。
(モースの時のルイスも家庭人だった)
相棒は初代がジョー、二代目がエイデンでタイプの違う美形ですが、どちらも好き。
今の相棒のエイデンが現場に入るヴェラに靴カバーをはかせてあげるのだけど、甲斐甲斐しくて妙に微笑ましい。

女性が主人公ではあっても日本の某ドラマのように「主婦の勘」とか言わないところが好きです。
日常会話が実用的で英語のヒアリングにもなるけれど、物語自体は複雑でちょっと油断するとわからなくなるので気が抜けない。

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2020年1月 5日 (日)

視覚的にダメ

年末年始の帰省中、録画した韓流ドラマを母が居間で見ていた。
以前から母の韓流ドラマ好きについては苦々しく思いつつも、年に数回しか会わないのだし、ここで文句を言って母の気を悪くするのも・・・と思って我慢しようとは思ったのです。
できるだけ画面を見ないようにしていたけれど、どうしても目に入ってくるし、母は母で話に夢中でそのドラマを集中してみているわけではなかったので、とうとうチャンネルを変えてもらった。
もうね、視覚的に耐えられなくて。
ストーリーとか台詞が安っぽいのは日本のサスペンスドラマにもよくあること。
嫌韓が理由かといえば、それも違う。
政治的な状況での反感なら中国に対しても感じることはあるけれど、そのために中国の映画やドラマを「安っぽい」と感じることはない。少なくとも日本で公開なり放映されるものについては。
NHKで放送している韓流の時代物でさえ予告が目に入るたびに色彩や構図が単調で見る気がしないけど、件のドラマは素人が撮ったのかと思うくらい酷かった。
バラエティ番組中に流れる再現ドラマ以下。
屋内も屋外も映像が妙に白っぽいし、光の使い方にも構図にも何の工夫もなく、俳優の顔が見切れてさえいる始末。
衣装も同じような色ばかりで、撮影効果を考えてスタイリングをしていないみたい。
こういうドラマをわざわざ放送している日本のテレビ局どうよ、と思う。

返還前の香港の映画には、かなりのおバカ映画があったけど、B級とは思っても素人とは思わなかったな。


で、年が明けてからのAXNミステリーは「家政婦は見た」一挙放送。
AXNミステリーの視聴目的は海外のミステリードラマなので、何もこれをお正月に放送しなくてもと思わないでもない。
前述の韓流ドラマと比較すると演出も撮影もプロが制作したドラマではあるけれど。
「名探偵ポワロ」の一挙放送を繰り返してくれても良かったのに。
(年末、一週間に二度ABC殺人事件とポワロのクリスマスを見たけど)


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2018年4月18日 (水)

黒井戸殺しとオリエント急行殺人事件

三谷幸喜の次のドラマが「黒井戸殺し」という記事を見て、しばし考えて「ああ、アクロイドか」。
こういうセンス、好きです。

ドラマは、テレビ視聴者向けに若干ソフトにした部分もあったけど、まあ許容範囲。
随所に三谷幸喜テイストを織り交ぜながら、ドラマの終りでは原作の読後感みたいなものが感じられた。
「うん、クリスティの面白さって、これだよね」っていう感じ。
野村萬斎と大泉洋の演技の変化が絶妙でした。
エンディングも余韻があって良かった。
デヴィッド・スーシェ版の「ナイルに死す」のジャズをバックにダンスをする映像で終わるのが好きなのだけど、それに似た余韻。
犯罪に対しては厳しく対処しつつも、人間の心の弱さに対する痛みがあるっていうか。
翻案しつつ原作のポイントははずさない脚本と演出には安心感さえ感じてしまった。
スーシェ版の「アクロイド殺人事件」は珍しくトンデモ改変でいただけなかったので、なおさら。

背景の置き換えについても、地方の素封家とかは日本にも存在するので、「黒井戸殺し」は違和感なし。
前の「オリエント急行殺人事件」は、原作の「様々な人種が一つの家に集まる」というアメリカの金持ちならではの設定を日本に翻案したのがちょっと苦しかったけど。
それと、誘拐された女の子の名前は聖子ではなく雛子にして欲しかった。
デイジー→雛菊なので。

ちなみに、昨年末に観たケネス・ブラナー監督主演の映画はかなり改変されていて、そのあたりは好き嫌いが分かれるけど、ウィレム・デフォーのハードマン(子守の女の子の恋人)が印象的だった。
三谷版の池松壮亮(ドラマでは羽佐間)も良かったので、ハードマンってじっくりと描きたくなる役なのか。
メアリー・デベナムを演じたデイジー・リドリーがスター・ウォーズと全然違っていて、女優ってすごい。
映画のエンディングに流れたミシェル・ファイファーが歌う「Never Forget」が胸に染みる名曲でした。
音楽が良い映画やドラマには弱いです。

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2017年7月17日 (月)

酷暑の海の日

海の日は酷暑のため夕方まで室内でAXNミステリーの名探偵ポワロを見て過ごす。
クリスティの比較的後期のポワロものって、原作はあまり好みじゃないものが多いけど、ドラマは面白い。
「鳩の中の猫」は脚本がマーク・ゲイティス。シャーロックのマイクロフトですね。
「第三の女」はゾーイ・ワナメイカーのオリヴァ夫人が素敵。
脚本と俳優の力ってすごい。

マーク・ゲイティスはゲイであることを公表しているけど、英国のテレビはそれが障害にならないところがうらやましい。
50年前までは日本よりもずっと厳しくて法的な制裁さえあったから、ここまでくるのは平坦ではなかっただろうけど、めざましい進歩。
日本は比較的寛容だったけど、社会的な偏見はまだ根強い。
英国なら成宮君がセクシャリティの報道の仕方が原因で引退に追いこまれることはなかっただろうに。

昼間はずっとCSを見ていたけど、CMの時間帯に民放を見るとお掃除棒と2時間ドラマの帝王の話題。
面白がって取り上げているけど、事件だったら名前を伏せるケースじゃないのか。
相変わらず面白がっていいものとそうじゃないものの基準をわかっていない。
で、批判されると過剰に自粛、と。

それと内閣支持率のニュースの頻度がこのところやけに高い気がする。
こんなに頻繁に調査するものだっけ。
批判すべき点を批判するのはいいけど、マッチポンプと報道しない自由はいい加減やめてね。

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2017年3月21日 (火)

East of Eden

四大陸選手権の女子フリーでマライヤ・ベルの「エデンの東」を見て、音源についてググッてみた。
いえ、町田樹のプログラムから気になっていたんだけど、あの時は曲名だけで作曲家名が出なかったので、映画のサントラの一部なのかなと思っていたんである。
それにしては、おなじみのメロディが出てこないなと思ったけど。
1981年制作のミニシリーズの音楽と判明して、すっきり。
私が原作を読むきっかけとなったのがそのドラマで、持っていた文庫の表紙はドラマの場面写真だったのです。
メロディは映画版のほうがキャッチーだけど、エデンの東という物語の世界観を表現するならドラマ版をというのはわかる。
あ、でも映画版の旋律も捨てがたいので、ロミオとジュリエットみたいにミックスしてプログラムを作る選手が出てくるとまたうれしい。

それにしても、エデンの東のミニシリーズが放映されたのはスケーターたちが生まれる前だけど、これに限らず昔の曲を使ってプログラムを見せてくれるところもフィギュアスケートの楽しみ。
「ロシュフォールの恋人たち」なんて、選手たちが生まれる前どころか、親の世代が生まれてない頃だろうが。
音楽とか映画の世代間の継承がなくなりつつあることを寂しく思っているけれど、フィギュアスケートの世界では継承されているなと。

テレビドラマのミニシリーズって、長編小説の映像化に向いていると思う。
映画だとどうしても尺が足りなくなるし、連続ドラマは話を引き延ばすために余計なエピソードを入れたりするし。
その点、ミニシリーズなら原作の長さに合わせて回数を設定できるし、過不足なくドラマ化してくれるのでありがたい。
「風と共に去りぬ」も映画よりはミニシリーズ向きだけど、ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルのイメージが強すぎるから難しいだろうか。いっそCGとか。
指輪物語は映画のSEEに満足しています。


で、音源が欲しくなって検索してみたら、最初iTunes Storeでは見当たらず、作曲家名「Lee Holdridge」で検索してみたらヒット。
というか、East of Edenで検索しても抽出されたのね。
アマゾンでものすごい値段になっていて驚いたけど、タワーレコードには入手可能な価格の輸入盤がありました。

過去の「エデンの東」についての記事はこちら

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2015年5月 5日 (火)

ポワロと非クリスティなドラマ

連休に入り、AXNミステリーの名探偵ポワロの連続放送を見ています。

「青列車の秘密」はわりと大胆な脚色。
ミレーユが設定も性格も原作とは全然違うけど、原作どおりのミレーユが出てきたら、かなりうっとうしいだろうから、これはアリだな。
許容範囲なんだけど、キャサリン・グレイとデリク・ケッタリングは、もう少し原作寄りが良かった。

「マギンティ夫人は死んだ」は比較的原作に忠実。
ウェザビイ家を割愛したのはドラマ的には良かったかも。
原作のアリアドニ・オリヴァ夫人はそんなに好きではなかったんだけど、ドラマではゾーイ・ワナメイカーが良い味を出している。
このイメージで読めば良いのか。
吹き替えの声も雰囲気が出ているなと思ったら山本陽子でした。

オリヴァ夫人の人気小説を戯曲化する話が持ち上がり、その作業に協力するためにオリヴァ夫人は脚本家の自宅に滞在することになり、同じ村に偶然居合わせた旧知のポワロの捜査に協力するのだけど、原作を無視してとんでもない改変をしようとする脚本家と、それを阻止しようとするオリヴァ夫人のやりとりが面白い。
最初に読んだ時は、脚本家のアイデアがあまりに突拍子もなくて「こんなこと、本当にあるの?」と思ったけど、トンデモ改変されたドラマを何度か見ることになろうとは。

で、ベネディクト・カンバーバッチ目当てで見た「殺人は容易だ」なんですが、そういうトホホな改変をされたドラマでした。
ベネ様の声が聞きたいし、原作を読んでいるからストーリーはわかるだろうと副音声で見たら、なんだかよくわからない。原作の重要な人物が出てこないし。
見逃したのかと思って、もう一度再生してみたけど、やはりホイットフィールド卿が出てこないし、犯人の年齢設定もキャラクターも違う。
で、ネタバレしてくださっているサイトのお世話になったけど、読んでびっくりである。
なんだか横溝正史かバーナビー警部みたいな話に変わってる。
まあ、ミス・マープル物ではない話にミス・マープルを出すわけだから多少の設定変更はあるだろうと思っていたけど、ここまでとは。
動機を全面的に変えちゃダメでしょ。

「ゼロ時間へ」は雰囲気は良かったけど、スケッチ旅行って最早ミス・マープルじゃないし。

探偵と役名を大幅に変えながら、動機は原作どおりのフランス版クリスティの評価が上がってしまいました。

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