カテゴリー「映画(邦画)」の62件の記事

2022年6月 5日 (日)

鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー

山田涼介のエドとディーン・フジオカのマスタングのキャスティングは「有り」と思いつつ、不安要素もあって行かなかった前作。
今回は映画館の予告を見て、ちょっと良さそうと思って行ってきました。
シン・ウルトラマンを二回観た余波で、上映回の多い一週目に行くことが出来ず、レイトショーの設定がなくなっていたけど、レイトショー回が復活したので無事見ることが出来ました。

今回は原作にかなり忠実で、何より俳優陣の演技が良かったです。
声以外は誰だかわからないアームストロング少佐をはじめ、シン国組は全部良かったな。
特に黒島結菜のランファンがほんとに原作のイメージ通り。
ハボックとかブレダもかなり原作に寄せている。
ホムンクルスたちも、本来トンデモなキャラクターなのにリアリティがありました。
本郷奏多のエンヴィーなんて、あのビジュアルで違和感ないって凄いです。
内山信二のグラトニーも不気味だったし。
そうそう、キンブリー(山田裕貴)も突き抜けた感があった。

俳優陣は総じて良かったんですが、ちょっと残念だったのがウィンリー。
典型的な少年漫画のヒロインを実写で演じるというのはハードル高いものだし、ビジュアルはクリアしているのです。
でも、シリアスな場面の演技が微妙。
いや、ちゃんと演じているんだけど、彼女だけ浮いて見えるんですよね。他のドラマでも。
ホークアイの蓮佛美沙子はビジュアルのイメージに疑問があったけど、映画の中ではだんだんホークアイに見えてきた。

アメストリスの街並みとか錬成シーンも良かったけど、エドとホーエンハイムがトリシャのお墓からピナコの家まで歩く場面の道端の植生に日本感が強かったのがちょっと残念。
セイタカアワダチソウって外来種だけど、今や日本の風景の一つなんだななどと思ったりした。

なお、山田涼介の沖田総司と鈴木亮平の近藤勇は見たかったものの、「燃えよ剣」は原作への思い入れが非常に強い小説であり、土方とお雪のイメージが違うために見ていないです。

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シン・ウルトラマン

予想以上に面白かったので二回観てます。
脳内でウルトラマンの歌からセブン~帰ってきたウルトラマンがメドレーになってしまう程度で、オリジナルの深い情報や知識はなかったのだけれど。

「謎の飛翔体」として出現した銀色の巨人がウルトラマンと呼ばれるようになり、「人間を助けてくれる存在」として認知されるまでを見るのが初めてだったのでかなり新鮮でした。
追体験する感じ。

横たわる巨大化した長澤まさみにジグザグにロープが張られている様子がまんま小人の国のガリバーだったので、室長が「ガリバー・トラベルかスリーピングビューティ」に例えて田村に突っ込まれるところにクスっとしてしまった。
お約束と言えばお約束だけど、そういえば今の若者はガリバー旅行記を知っているのだろうか。

山本耕史のメフィラス星人と斎藤工のウルトラマンは、人間の姿をしながらタイプの違う外星人像が伝わってきてほんとに素晴らしい。
たまたま「ガキの使い」で斎藤工が「何分瞬きしないでいられるか」の回を見ていたけど、あの特技?がここで生かされるとは。

それから、音楽がとても良かった。
二回目鑑賞のエンドクレジットで「選曲 庵野秀明」を確認。

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2022年2月12日 (土)

ドライブ・マイ・カー、米アカデミー賞ノミネート

映画「ドライブ・マイ・カー」の海外の映画賞受賞やノミネートが続いている。
米アカデミー賞は作品賞・監督賞・脚色賞・国際長編映画賞のノミネート。
快挙です。

良い映画だし好きだから栄誉を受けるのはうれしいけど、この受賞ラッシュには戸惑いもある。
そんなにも彼らの琴線に触れたのはどこなんだろうと。
万国共通でこういう感覚は共有できるだろうと思うこともあるけど、そういうタイプの映画とは思わなかったので。
それを言うと村上春樹が世界で読まれていることにも言えることかもしれないけれど。

この映画は吹き替えにしたら多言語による舞台演出のくだりの良さが失われるから字幕鑑賞必須。
アメリカは相当なインテリでも字幕で映画を見る習慣がないと聞いていたのだけど、この評価の高さということは、字幕鑑賞する人が増えたんだろうか。
・・・と思っていたら、納得できる記事が。
『ドライブ・マイ・カー』に惚れ込むアメリカの映画界


村上春樹関連のニュースのコメント欄には、必ずといっていいほど「自分が村上春樹を読まなかった理由」を語りだす人が出現する。
映画賞受賞のニュースのコメント欄にもいた。
そういうことを語りたくなる存在なんだと勝手に納得しつつ、でも不思議。

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2021年11月13日 (土)

劇場版・昨日なに食べた

ドラマは深夜ドラマ特有のゆるさとスケール感も込みで好きだったので、映画にすべき題材かどうかには多少の疑問を感じなくもなかったけど、映画もとても楽しかったです。
ドラマの映画化にありがちな余計なエピソードを入れて無理やり話を大きくすることもなく、原作のエピソードに忠実に、それでいて映画館のスクリーンで見る意義も十二分にある作品。
京都旅行は定番の観光コースだけど、映像が美しくて自分が旅行しているような気分になれたし、出てくる料理がテレビよりも鮮明でさらに美味しそう。
映画館のスクリーンで見るリンゴのキャラメル煮は見ごたえがあった。
エンディングのスピッツの「大好物」も映画の内容のマッチして良かったです。
「君の大好きな物なら僕も多分明日には好き」というところがシロさんとケンジのイメージそのままで。

この映画を見たら絶対幸せになる・・・とまでは言わないけど、癒しを感じられるであろう人に限って映画を見に行かないんだよなーというもどかしさも感じたりする。

ところで斜め後ろの席の人たちのポップコーンを食べる(時に容器をさぐる)音が耳についてしまった。
ポップコーンって食べる時に音がしないから劇場で売っているんだと思っていたのに。
別に息を詰めて見るタイプの映画じゃないけど、ポップコーンムービーでもないし、よしんばポップコーンムービーだったとしても音には気を付けて欲しいものである。

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2021年8月29日 (日)

ドライブ・マイ・カー

「トニー滝谷」が好きなので、原作が村上春樹で主演が西島秀俊となれば是非みたい。
西島秀俊は映画館に出かける動機になる俳優だし、見た作品については概ね満足しているけど、この映画は久々の真打ちという感じ。
PG12であることも含めて、西島秀俊が役とがっぷり四つに組んで不足なし。

原作の「女がいない男たち」は文庫を積読していたのを、「ドライブ・マイ・カー」を観に行く前に、残りは鑑賞後に読みました。
それから「ワーニャ伯父さん」も。
物語のおおまかな設定は把握しつつ、細かいモチーフは知らない状態で映画を見たので、わりと先入主なしに楽しめた気がする。
普通、短い話を膨らませると、どこかに無理やりな感じとか齟齬が生じるものだけど、それを感じさせないのが凄いと思う。
カンヌの脚本賞の評価に納得、です。

二人の生活や会話が丁寧に描かれているので、主人公と妻が心から愛し合っていることは主人公の主観だけではなく客観的事実として観客は感じることができる。
だからこそ妻の行動は謎だし、主人公の苦しみもリアリティがある。

三浦透子の渡利みさきは原作のイメージそのまま。
高槻は原作よりも複雑で多面的。
「容姿にも才能にも恵まれて、人気もあるのに自制できずに自滅する俳優」ってリアルにいるなと。
「ダンス・ダンス・ダンス」が映画化されるのなら五反田君を岡田将生に演じて欲しい。
「大豆田とわ子と三人の元夫」も、時として凄みを感じるくらい良かったけど、この映画の後ならば納得。

何度も車で往来する広島の夜景が美しかったです。

車の中、亡き妻の声で流れる「ワーニャ伯父さん」が登場人物の心理とシンクロするのが面白かった。
特に、舞台のラスト、ソーニャの台詞が音ではなく手話で語られるのが印象的。

ワーニャ伯父さん、生きていきましょう。長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう。運命が送ってよこす試練にじっと耐える の。安らぎはないかもしれないけれど、ほかの人のために、今も、年を取ってからも働きましょう。そしてあたしたちの最期がきたら、おとなしく死んでゆきましょう。[チェーホフ. ワーニャ伯父さん/三人姉妹 (光文社古典新訳文庫)より]

「そしてあたしたちの最期がきたら、おとなしく死んでゆきましょう。」というところに逆に生き続ける覚悟を感じてグッときてしまいました。

「俺の家の話」もそうだったけど、古典作品をモチーフにする手法はかなり好きです。
本歌取りっていうのか。

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2020年12月13日 (日)

サイレントトーキョー

映画「サイレントトーキョー」を観てきました。

好きな俳優てんこ盛りだし、前半は楽しめました。
もしゃもしゃ前髪の中村倫也が眼福。
後半の犯人の動機のあたりは、ジャック・ヒギンズやトム・クランシーの世界なら納得できるのだろうけど、今の日本では説得力に欠けるかな。
「相棒」にもテロリストの話があるけど、「相棒」は連ドラの積み重ねでパラレルワールドみたいな認識が出来ているからいいんだけど、初見の映画でそれは難しい。
ともあれ、渋谷駅前の爆発シーンは、そこに至る過程も含めて面白かったです。
この場面だけでも一見の価値あり。
警察の必死の制止を無視してバカ騒ぎする若者たちが、コロナ禍の中で感染防止対策を怠り無防備に行動する人たちに重なる。
本当なら「デフォルメしすぎ」とか「現実にこんなのはいないよ」と言いたいところだけど、リアリティを感じてしまえることが複雑です。

「新解釈・三国志」も行こうかと思ったのだけど、空席をチェックしてみたら席間を空けて予約するのが難しい状況。
ソーシャルディスタンスに不安を抱きながら見よういう熱意はないので断念した。
コロナ対策でメディアは移動ばかりを問題にするけど、こういうところのソーシャルディスタンスのほうが問題だと思う。
映画館の換気については信頼しているけど、隣席に人がいて、会話でもされたら不安ですよ。
映画館も、しばらくは間隔を明けて席を販売して欲しい。

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2019年9月28日 (土)

羊と鋼の森(映画)

去年、原作を読んで映画に興味を持ったものの既に公開終了していて、先日WOWOWで放映されたのを録画して鑑賞。
丁寧で繊細な映画で、原作の読後感の良さを映画でも味わえました。
映画館で見れば良かった。

ピアノ演奏の技術レベルと表現がそれぞれの役柄とかシチュエーションにぴったり合っていた。
原作には具体的な曲名があまり出てこないけど、選曲も良かったです。
結婚披露パーティの演奏曲の中にさりげなく「音楽に寄せて」が入っていたのも映画の内容に似つかわしい。
音楽を担当した世武裕子のプロフィールを見たらガブリエル・ヤレドに師事とのことで納得、です。
「愛人/ラマン」のショパンのワルツも「船上で誰かが弾いている」というシチュエーションにぴったりだった。

調律の依頼主の青年が「子犬のワルツ」を弾く場面は原作で一番好きな場面で、どんなふうに描くんだろうと思ったのだけど、とても素晴らしかった。
ゆっくりとぎこちなく音符を一つ一つ思い出すように弾き始め、だんだんと思い出して速度を増していくくだりがとてもリアリティがあって。
久しぶりにピアノを弾く時ってこんな感じだよね、と。
ちょっとぎこちなさがありつつも解き放たれたように奏でるピアノの音色に涙が出てしまった。
「子犬のワルツ」で泣くことがあろうとは。
この場面の音は俳優の演奏をそのまま使用したのだろうか。
「そこそこ弾ける」というレベルの演奏だから、ピアノが弾ける俳優の音をそのまま使うほうがリアリティがあるだろうし。

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2019年2月26日 (火)

翔んで埼玉

映画化の話には驚いたけど、宣伝を見たら面白そう。
邦画はCS・BS放映を待つほうなんだけど、こういうのは勢いだからと思って観てきました。
怒涛の小ネタ連発に笑ってしまった。
「月曜から夜更かし」ネタ満載だけど、映像や衣装も作りこまれていて、真面目に作ったおバカ映画の傑作です。
主演の二階堂ふみは主人公を女子に変更する案を提示されたのを男子で通したそうだけど、原作者の世界観をわかっているなーと思う。
Gacktは非日常的なキャラクターが生きているし。

主人公二人が移動したルートをGoogle Mapで追ってみるのもなかなか楽しい。

バカッターの面白くもない悪ふざけが問題になる一方で極端な不謹慎狩りも蔓延。
息苦しさを感じつつあったので、こういうおバカ映画がまだまだ本気で作られるということにある種の安らぎを感じたりする。

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2016年8月21日 (日)

シン・ゴジラ

期待が持てそうな予告編だったし、話題になっているから、と時間が空いた時に軽い気持ちで見に行ったのだけど、自分がこんなに「ゴジラ」を楽しめるとは思わなかった。
とにかく人と話をしたくなる要素がてんこ盛りの映画なので、すぐに親しい人を道連れにしました。
会議のやりとりの面白さなんかはテレビやDVDでも楽しめるけど、映画館の大スクリーンで観ないと伝わらない場面があるから。

市川実日子演じる尾頭さんが大人気ということで、なんだかとてもうれしい。
「めがね」の時もそうだったけど、市川実日子は「おしゃれじゃないスーツ」をとてもきれいに着こなす。
おしゃれじゃないスーツだからお洒落ではないんだけど、佇まいとか身のこなしとかがスッとして、いちいちキレイなのです。

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2013年8月 4日 (日)

風立ちぬの長めの感想

「風立ちぬ」をこれまでに3回見て、公開している間にどうにかしてあと1、2回は見に行きたいと思っているところ。

「宮崎駿の次回作は『風立ちぬ』』のニュースを見た時は、堀辰雄の小説をそのまま映画化するのかと思ったので正直かなり失望したのでした。
それが西島秀俊が出演すると聞いて「行こうかな」に変わり、さらに「是非行きたい」になったのは登場人物の絵や背景が公開されてから。
絵を見て、宮崎駿の描く大正と昭和を見てみたいと思ったのです。
思えばポニョの時も、最初は興味がなかったのが新宿の西口広場で鞆の浦の絵を見て気が変わったので、映像の美しさは劇場に映画を見に行くかどうかを決める非常に大きなポイント。

江戸情緒を残した二郎の故郷、関東大震災から復興しつつある東京の和洋折衷な建物、名古屋に向かう汽車から見える輪中集落、昔の名古屋駅etc.、風景や町並みの描写がきめ細かで鑑賞回数を重ねるごとに発見がある。
「ハウルの動く城」のソフィの町のモデルになったコルマールのように古い町並みが現在進行形で生活の場として残っているヨーロッパと違って、日本では古民家博物館とか白黒写真で偲ぶしかない場所が多いから、そういう現代では残っていない風景がジブリの映画として残るのは素晴らしいことだと思う。
輪中は、小学校か中学の社会科で習ったきりだけど、画面に出てきて「これが輪中か」と感動。

軽井沢のホテルの夕食の場面で、二郎が白いスーツを着ているのが、「戦前の白い麻のスーツの紳士フェチ」にはたまりません。
それ以外も、二郎の姿勢のよさと上着の背中とズボンのラインとか、図面を引くときの手の美しさなども萌えポイント。

思った以上に物議を醸している庵野秀明の声、汽車で席を譲る時の第一声は違和感があるけど、菜穂子と「Le vent se leve,...」のやりとりをするあたりから気にならなくなり、「機関車は爆発などしない」で「合理的な理系の人」として受け入れ、最後にカプローニと出会った場面の「天国?、地獄かと思いましたよ」「一機も戻ってきませんでした」の台詞は余人に替えがたいほどぴったりしっくり。

菜穂子役の滝本美織は、宣伝番組で見ると普通のイマドキの女の子だけど、映画の中では戦前の上流のお嬢さんの声と話し方。
NHK-BS時代劇のくの一役も良かったし、プロフェッショナル。


上手いだろうと思っていたけど、予想以上に上手かったのが本庄役の西島秀俊。
本庄の「イラチな天才」ぶりと二郎への友情など微妙な感情のさしひきを適確に演じていて、この本庄像があったから二郎の茫洋とした良さが引き立ったと思う。
ファンとして鼻が高い(笑)。
なお、個人的な実写版「白い麻のスーツを着た紳士」のNo.1は「丘を越えて」の西島秀俊、次点がレオン・カーフェイだったりします。

カプローニと本庄の台詞は、二郎が黙っている時は同意しているのだと解釈している。
二郎にとってどうでもいいことは雑音として聞こえるし(少年時代のいじめっ子、会社の重役、会議に出席している軍人たち)、ちゃんと話を聞いていて異論がある時は二郎は意思表示をする(例:「鯖は美味いよ」「牛は好きだよ」)から、そうでない時は同意なのだろうと。
カプローニの台詞は全部好きで、萬斎の声で語られると音楽のよう。
でも、これをそのまま二郎に語らせると、映画としては陳腐になってしまうんだろうな。

あくまでも、飛行機の設計に邁進する二郎と仕事仲間とカプローニとの夢の中の出会いが描かれていてこそではあるんだけど、劇場に行くのをパスする要因になりかけた堀辰雄の風立ちぬ的成分にも強く心を動かされていたりもする。
初回は見過ごしてしまったのだけど、2回目見た時に、黒川邸から高原の病院に戻る汽車の中の菜穂子が、背中をまるめて具合が悪そうに座っている姿に胸を衝かれた。
台詞の説明は少ないというか、ほとんどないけど、画面ではいろいろなことを説明しているんだなーと。

ストーリーとかテーマはまったく違うんだけど、「風立ちぬ」は私にとって「ハワーズエンド」と似た読後感?の映画です。
近代史を知らないと面白さがわからないという点では「英国王のスピーチ」とも共通しているんだけど、映像では緻密に描写しつつ説明台詞を極力省いて見る側に委ねるという点においては「ハワーズエンド」だなと。
これは最大の賛辞です。

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