カテゴリー「映画(洋画)」の69件の記事

2019年6月16日 (日)

時代の香りを伝えてくれた人たち

相次いで好きな人たちの訃報が。

田辺聖子の古典には本当にお世話になりました。
「文車の日記」、「鬼の女房」、「新源氏物語」、「むかしあけぼの」、「隼別王子の叛乱」が特に好き。「舞え舞え蝸牛」と「私本・源氏物語」も。
わかりやすくて、くだけてはいるけど、その時代の雰囲気が感じられる解釈と描写。
昔の人も気持ちは今と変わらないなと感じつつ、決して「現代人」ではないという。
「千すじの黒髪」、「花衣ぬぐやまつわる」などの評伝は、その人物の欠点や悪評などにも触れつつ、常にフラットな視点で、欠点も含めて愛情が感じられる筆致が好きだった。
古典以外では「日毎の美女」が今読んでも笑える。社会的な背景はかなり変化したけれど。


そしてフランコ・ゼッフィレッリ監督。
「ロミオとジュリエット」は何度も映画館に足を運びました。
この映画から中世からルネサンスに興味を持ったことが、塩野七生を読むようになったきっかけにもなった。
もとは、ああいう衣装を身に着けた人たちが生きていた時代が知りたいという、ちょっとミーハーな動機だったのだけど。
古典作品を、本格的ではあるけれど必ずしも原作や歴史に忠実ではない形で映画化したという点で先駆的な監督だったと思う。
「ロミオとジュリエット」にしても「ハムレット」にしても、かなり斬新な描き方だったけれど、それでいて背景となる時代をしっかりと感じられたし、省略はしても改ざんはしない点も好きだった。節度っていうのだろうか。
「ヤング・トスカニーニ」の公開に合わせて開催された「フランコ・ゼッフィレッリの世界」という映画の衣装と絵コンテの展覧会で、ジュリエットの赤いドレスを生で見られたのは貴重な経験でその時の図録は永久保存版。
トゥーランドットが水色のイメージになったのはゼッフィレッリ演出のオペラをテレビで見てからです。
映画上映用に編集した「ナザレのイエス」を劇場で見たけれど、完全版のDVDが出ていた。今は中古のみだけど、再発売してくれないだろうか。

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2019年2月19日 (火)

女王陛下のお気に入り

映画「女王陛下のお気に入り」を観てきました。
女王をめぐる二人の女の壮絶なバトル。
映画のバトルは脚色だけど、女王の寵愛の行方が英国を左右していたのは史実で、それが二大政党制を後押ししたことになったのが面白い。


モールバラ公爵夫人サラ・チャーチルがカッコよく、アビゲイルの成り上がりっぷりが痛快。
まさにバロック版「イヴの総て」。
アビゲイルの成功はほろ苦く、一番印象的なのは女王アンの孤独なのですが。


ジョン・チャーチル役、誰なんだろうと思ったらマーク・ゲイティスか。


サンディ・パウエルの衣装だけでも一見の価値あり。
エンドクレジットの均等割付が見づらかっのが残念。
そういうところで奇をてらうのはやめてほしい。


均等割付の不快さに気を取られてしまったけど、エンドクレジットで流れたエルトン・ジョンの「Skyline Pigeon」が良かったです。
サントラが配信のみで、既存曲を使用した場合、これもありかなと思う。


史実関係の予習・復習は「英国王室史話」、「英国の貴族」がお勧め。

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2019年2月 6日 (水)

メリー・ポピンズ・リターンズ

最初、バンクス夫人が亡くなっている設定と聞いて、またトンデモ改変かと思ったけど、予告編のエミリー・ブラントが意外と良かったし、ベン・ウィショーも見たいので鑑賞。

古き良きディズニー映画という感じで、設定変更は気になりませんでした。
前作のバンクス夫人の設定が既にずいぶんだったので、あれを受け入れられれば大丈夫。
メリー・ポピンズのキャラクターやロンドンの街並みなど前作よりも原作の雰囲気が感じられる。子役たちもかわいい。特にアナベル。
タコ、あべこべ、風船おばさんと「帰ってきたメアリー・ポピンズ」からのエピソードが多いかな。タイトルは違ってたけど。
時々「タコをあげよう」のメロディが聴こえてきたけど、もっとがっつり聴きたかった。
曲はキャッチーさにおいては前作に負けるけど、地味に良曲ぞろい。

原作好きとしては、元々ミュージカルである必然性は感じていなくて、原作のエピソードを一つ一つ映像化したのも見たかったりする。
その場合、30分一話完結の連続ドラマになりそうだけど。映画じゃなく。

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某スケーターが宣伝イベントに出ていて、メリー・ポピンズをエキシビションで滑ったことがあるかららしい。
起用した担当者は件のエキシビションをちゃんとみたのだろうか。
映画のイメージアップにはとてもつながりそうもなかったのに。衣装も演技も。

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2019年1月14日 (月)

Someone still loves you

ボヘミアン・ラプソディの一回目鑑賞後、これまでスキップして聴いていたクイーンのアルバムを通して聴いたり、DVDを見たりしています。
一通り知っているつもりだったけど、新たに好きな曲が続々出てきて新鮮。


「Radio GAGA」の歌詞がクイーンを含む「(消費されるべきでないのに)音楽が消費されていくことへの抗議にも思えて涙がこみあげる。
このところ世代間の音楽の継承がストップしているように感じて、そのことを寂しく思っていた。
それがあって、映画をきっかけに10代20代がクイーンを聴くようになったというのが妙にうれしい。
まさしくSomeone still loves you.


なおRadio GAGAはPVも見ているし、86年のウェンブリーのライブも見たけど、その時点では聞き流してしまっていた曲でした。
それが映画を見て以来ヘビロテ曲に。
そうなったのは映画館の音響設備の効果もあるけど、やはりライブエイドのパフォーマンスの素晴らしさのせい。
フレディの歌い方が丁寧かつグルーブ感があるし、ドラムもキレがあってかっこいい。
20分という時間の制約があったからこそ全員がよりはっちゃけていたのかもしれない。



映画はライブエイドを最大限生かすために逆算して物語を構成したような。
ゴールデングローブ賞はうれしい驚き。
賞には無縁なタイプの映画と思っていたけど、評価には値するから。



このブーム、自分が良いと思った映画がヒットしているうれしさもあるけど、世代を超えての人気と言うことで、音楽の継続性と言うか継承性が感じられるのもうれしい。
しかも、それがメディアの仕掛けではなく自然発生的に起こったことが。
最近ありがちなステマでもゴリ押しでもなく。


※※
さほど流行っていないものを「これ、今人気です」といってゴリ押しするのはメディアがよくやる手法だけど、公開二週目の時点ではメディアはそんなに取り上げていなかった。
NHKがSONGSを放送したくらい。
宣伝も地味で、よくある「感動しました!」CMもなかった。
それが、チケット購入の時に前方しか残っていなかったので人気があることを実感。
ワイドショーが次々取り上げたのはそれ以降のこと。
その後の人気の加速はテレビで取り上げた影響が大きいけど、公開当初の扱いはそんなに大きくなかったので自然発生と言えると思う。

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2018年11月27日 (火)

ボヘミアン・ラプソディ(映画)

映画「ボヘミアン・ラプソディ」をちょっと迷った末に鑑賞。
映画館の音響でクイーンを聴くのも悪くないかな、くらいの気持ちだったけど、思っていたよりもずっと引き込まれてしまった。
おおまかなストーリーは知っているし、時系列を入れ替えたりしているのもわかっているけど、随所にちりばめられたクイーンの音楽とドラマが相まって、途中から涙腺崩壊。
事実とは少し違っていても虚構の中にある真実が感じられた、とでもいうんだろうか。
時系列はどうあれ、メンバーが不和を解消し、フレディの体力の限界まで一緒に創作したのは事実。
間接話法ではなく直接話法でフレディたちの言葉を聞けるのは物語だからこそ。


観に行く前はそっくりさん大会になっていることを危惧したけど、それも杞憂でした。
ライブエイドの場面は圧巻。
ライブの素晴らしさならDVDかYouTubeを見ればいいんだけど、俳優の演技を通すことで感じられるものがある。
それから演出とかカメラワークも。
特にフレディは、容姿はそんなに似ていないんだけど、似ていないからこそ、なりきりぶりに胸を打たれるし、「物語としてのフレディ・マーキュリー」を感じることができたと思う。

ただ今サントラをヘビロテ中。
観に行く決断をした自分を褒めてあげたい。

子役時代の美少年ぶりからジョゼフ・マゼロ(クレジットはジョー・マゼロ)がロジャー・テイラー役なのかと思ったらジョン・ディーコン役。
意外だったけど良い味出してた。

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四人そろってクイーンなんだということを強く認識したのが「Made In Heaven」収録の「I Was Born To Love You」を聴いてから。
TVCMでフレディのソロ版を聴いて以来好きな曲だったけど、クイーン版が演奏もコーラスもそれはもうかっこよくて、こんなに違うのかと思ったのでした。

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2018年4月18日 (水)

黒井戸殺しとオリエント急行殺人事件

三谷幸喜の次のドラマが「黒井戸殺し」という記事を見て、しばし考えて「ああ、アクロイドか」。
こういうセンス、好きです。

ドラマは、テレビ視聴者向けに若干ソフトにした部分もあったけど、まあ許容範囲。
随所に三谷幸喜テイストを織り交ぜながら、ドラマの終りでは原作の読後感みたいなものが感じられた。
「うん、クリスティの面白さって、これだよね」っていう感じ。
野村萬斎と大泉洋の演技の変化が絶妙でした。
エンディングも余韻があって良かった。
デヴィッド・スーシェ版の「ナイルに死す」のジャズをバックにダンスをする映像で終わるのが好きなのだけど、それに似た余韻。
犯罪に対しては厳しく対処しつつも、人間の心の弱さに対する痛みがあるっていうか。
翻案しつつ原作のポイントははずさない脚本と演出には安心感さえ感じてしまった。
スーシェ版の「アクロイド殺人事件」は珍しくトンデモ改変でいただけなかったので、なおさら。

背景の置き換えについても、地方の素封家とかは日本にも存在するので、「黒井戸殺し」は違和感なし。
前の「オリエント急行殺人事件」は、原作の「様々な人種が一つの家に集まる」というアメリカの金持ちならではの設定を日本に翻案したのがちょっと苦しかったけど。
それと、誘拐された女の子の名前は聖子ではなく雛子にして欲しかった。
デイジー→雛菊なので。

ちなみに、昨年末に観たケネス・ブラナー監督主演の映画はかなり改変されていて、そのあたりは好き嫌いが分かれるけど、ウィレム・デフォーのハードマン(子守の女の子の恋人)が印象的だった。
三谷版の池松壮亮(ドラマでは羽佐間)も良かったので、ハードマンってじっくりと描きたくなる役なのか。
メアリー・デベナムを演じたデイジー・リドリーがスター・ウォーズと全然違っていて、女優ってすごい。
映画のエンディングに流れたミシェル・ファイファーが歌う「Never Forget」が胸に染みる名曲でした。
音楽が良い映画やドラマには弱いです。

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2017年2月 6日 (月)

ミス・ペレグリンと奇妙な子ども達

映画館に行かない時は数か月行かなかったりするけど、見たい映画が重なることも。
監督ティム・バートンだし、エヴァ・グリーンが出ているしということで行ってきた。
時代が近いスリーピー・ホロウといった趣き。
しばらくトトマメを食べるのを躊躇そうな場面もあったけど、それ以外は良かった。
映像は美しく、奇妙な子ども達がみんな雰囲気があって、ティム・バートンの女優選びはいつもながら素晴らしい。
体内に蜂を飼っている子がMr.ホームズに出演していたマイロ・パーカー君。
Mr.ホームズではスズメバチに刺されて死にかけていたが、今回はこういう役なのね。

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2017年1月30日 (月)

ドクターストレンジ

アメコミ映画がそれほど好きっていうわけでもないけれど、ベネディクト・カンバーバッチとティルダ・スウィントンが出るならと鑑賞してきた。
ストレスなく楽しめたし、「bargain」に「取引」という意味があることが頭に刻みつけられた。
英国ミステリーを見ていて脅迫がblackmailと知った時みたい。

ストレンジと師匠エインシェント・ワンの声を聴いているだけでうっとり。
そして、師匠の動きの美しいこと。
円を描く手の動き、ストレンジをアストラル界に飛ばす時の姿勢と、バレエを見るようだった。

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2016年7月17日 (日)

アリスインワンダーランド 時間の旅

「アリスインワンダーランド/時間の旅」を見てきました。

映画の序盤、アブソレムの声を聴いてちょっとしんみりし、エンドロールで流れたアラン・リックマン追悼メッセージにはうるうるしてしまった。
ああ、これが遺作なのだなと。

映画は、なんといってもチェシャ猫が可愛いし、タイム役のサシャ・バロン・コーエンが良い味出してる。
面白かったのだけど、一つ不満だったのが人間チェスが出てこなかったこと。
原作の「鏡の国のアリス」は荒唐無稽でシナリオ化は難しいので、「ストーリーが原作と違う」なんて野暮は言わないけど、人間チェスは出してほしかった。
前作よりも観客動員が落ちているとのことだけど、映画自体は面白いのでもったいない。
サブタイトルの「時間の旅」は内容的には正しいし、「鏡の国のアリス」にしてしまうとストーリーと乖離しすぎているけれど、原題の(そして英語タイトルの)「スルー・ザ・ルッキンググラス」は映画にも出てくるし、これをサブタイトルにしたほうが原作ファンが取り込めたんじゃないかと思う。

ティム・バートンが制作にまわったためか、ディズニーの意向が強かったのか、前作より毒が少なくなったのは残念な点。
でも、その分子ども向けには良いのかなと。
「過去は変えられない」、「努力するなら現在から未来に向けてするしかない」ということは子どもたちに伝えたいことだし。

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2016年6月13日 (月)

リオの男とU.N.C.L.E

旅行に行ってきましたが、機内で見た映画が往きが「リオの男」で帰りが「コードネームU.N.C.L.E」。
60年代の映画と、60年代の人気テレビドラマのリメイク映画と偶然にも60年代づいてしまった。

「リオの男」は昔テレビ放映されたのを一度見たきりながら面白かったという記憶が強く残っていた映画だけど、記憶にたがわず面白かった。
ハラハラする展開だけど、コミカルで肩に力が入りすぎずに楽しめるのが良い感じ。
ジャン・ポール・ベルモンドはこの頃が一番好きかも。容姿と言い軽快な動きといい、リアル・ルパン三世。
ルパン三世やインディ・ジョーンズに影響を与えたというのも頷ける。
ヒロインのフランソワーズ・ドルレアックは美しくてチャーミングで、こんな女の子だったら振り回されても何が何でも助けに行くよねーという説得力大。
フランス語の勉強も兼ねてDVDを買ってしまった。

0011ナポレオン・ソロをリメイクした「コードネームU.N.C.L.E」も楽しい映画でした。
映画館で観る映画のリストに入っていたのだけど、近くで上映していなくてあきらめた作品だったので、ここで見られてうれしい。
イリヤはデビッド・マッカラムのイメージが強いので、映画版のイリヤは若干(というか、かなり)ごつい気はしたけど、それはそれでロシア人らしいといえなくもない。
「肩のこらない娯楽アクション映画」ってヒロインが可愛いこともかなり重要だと思うんだけど、こちらのヒロインも可愛くて、60年代ファッションの着こなしが素敵。
アリシア・ヴィキャンデルって既にアカデミー賞を獲っていたのですね。
WOWOW放映待ちだけど、もしかしたらDVDを買うかもしれない。

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